Sunday, April 12, 2009

社長シリーズ

Rimg0001-1 先日YABUさんが来て、夜は彼の手料理と酒になった。つまみは持参してくれたDVD「社長洋行記」。前回会ったとき「社長シリーズ」の話をしたら、その後さっそく何枚かレンタルしたようで、いまではちょっとしたファンである。案の定フランキー堺が演じる怪しい英語を喋る日系2世にやられたようだ。昭和30年代には屈指のジャズ・ドラマーだったフランキーは、そのリズミカルで軽妙な演技で映画界に進出し「幕末太陽伝」などで人気スターとなったのだが、後年NHKテレビで演じた向田邦子原作のドラマ「あうん」での頑固な父役も良かった。シリアスな役でもペーソスを感じさせるところが彼の魅力だったと思う。それから、もちろん三木のり平だ。「パーッといきましょう」という言葉が流行語にもなったこの稀代の喜劇人を見ながら、YABUさんは「植木等はこれの発展系ですかね」などとつぶやく。本名、田沼則子は「たぬま ただし」と読ませるらしく、おかげで女性と思われ徴兵検査をまぬがれたという、冗談のような逸話が残っている。恒例宴会シーンでの奇天烈な踊りは、可笑しみと悲しみが同居した独壇場で、森重久弥や加東大介という芸達者を食ってしまっている。聞き書き本「パーッといきましょう」を読むと、そんな「社長シリーズ」での人気沸騰振りに、本人は「あんな、くだらない映画なんて・・・」、と内心では思っていたという。新劇の役者だという矜持を終生もった舞台俳優だったのだ。自分が思っても見なかったところで評価されるのも人生ってものなのか。ところで、YABUさんにいわせると、社長シリーズは女優に品があっていいらしい。例えば新玉美千代だが、はかなげだけど実はしっかりもの、と確かに女ぶりがいい。やはり、画家の目だ。