Friday, December 24, 2010

Happy Xmas The War Is Over (If You Want It)

Img 2658 現在開催中のトランクショウには、それぞれいわくありげなモノが並んでいる。どれも、バイヤーである鄕古さんの目を通して選ばれた逸品だ。なかには、屋号である”swimsuit department"通り、古い写真でしか見かけないアメリカの水着なども出品されている。まるで女性が着るようなワンピース型で、素材はウールである。したがって、着るとチクチクするし、水分を含むとずいぶん重いに違いない。こんな水着を着て男が泳いでいた時代があったなんて、昔は案外ユニセックスだったのか。 他にも「ナニコレ?」みたいなモノが集まって興味が尽きないのだが、驚いたのはアメリカ軍、それも1940年代海軍のヴィンテージ・デニムのジャケット。コンディションも良く、なによりインディゴの風合いの、リメイクものには真似できない独特の質感が素晴らしい。
 そんな、軍の放出品であるサープラスなのだが、いったいいつ頃から僕らのワードローブの一部になったのだろう。 多分、1960年代後半にアメリカで起こったヒッピー・ムーヴメントあたりからだと思うのだけれど、僕が覚えているのはジョン・レノンだ。1969年、プラスティック・オノ・バンドとして平和活動を始めたころ、彼はカーキ色をしたフィールド・ジャケットを着てステージに立っていた。でも、戦争のためのギアを、戦争を否定するために着用し、挑発的なロックンロールを唄う彼のアイディアがすんなりと理解されることはなかった。当時のメディアの大半は「平和を利用した売名行為」とまで酷評したし、僕を含めたビートルズ・ファンも大方否定的で「ジョン、前みたいにちゃんと音楽やってくれよ」などと、不平を言ったものだった
 毎年この季節になると、僕の店の前にある私鉄駅地下のスーパーでは連日”Happy Xmas”が流れている。耳タコになっているのだけれど、良く聞き取れないフレーズがあるのでグーグルで歌詞を検索してみた。ところが、その部分にはふた通りの歌詞が存在していた。2番の中程なのだが、ひとつは”The world is so wrong”とあり、もうひとつには"The road is so long"とある。で、何回か聴き直してみたのだけれど、未熟な僕には、聴く度にどちらかに聞こえてしまう。多分、オノ・ヨーコさんなら正解をご存じなんだろうけど、どちらにしても「こんなにひどい世界」が変わるためには「とても長い道のり」が必要なことだけは確かだろう。そう、今日はクリスマス・イヴだ。