Sunday, January 24, 2010

WOOD/WATER ZINE

Rimg0022 "WOOD/WATER ZINE"の第2号が届いた。Autumnleafというユニットで音楽をやっている石井君が仲間と発信しているリトル・プレスである。石井君には去年AU REVOIR SIMONEのコンサートが縁でorganに来てもらうようになったのだと思う。自分たちが気に入ったミュージシャンのコンサートも企画していて、先日住吉神社の能楽堂で行われたTim Kinsellaのライブは楽しみにしていたのだが、あいにく風邪を引き見逃してしまった。そんなことはさておきジン第2号。Kinselaのインタビューから始まり、うきはの山奥にあるスモーク・レストラン「IBIZA」、塩川いづみさんのイラスト、カルチャーマガジン「AFTER HOURS」の小特集、そして小生の恥ずかしインタビューなどで構成されている。地域のコミュニティの動きと、グローバルな好奇心がどうシンクロしてゆくのか、これからも楽しみ。

Friday, January 15, 2010

エリック・ロメール

Rimg0021-2 エリック・ロメールは生涯で25本の長編映画を残したが、観ることができたのは17本。最初の取っつきにくさが去り、好きになってしまうとほとんど中毒になった。初見は1982年に制作された「海辺のポーリーヌ」。「喜劇と格言劇」と呼んだシリーズの3作目。ヴァカンスを舞台に、延々と続くおしゃべりと日常のささいな出来事を、たまたまそこにカメラがあったかのように一見無造作に追ってゆく。それまで観たどの映画とも違うフランスだった。その後さかのぼって観た「六つの教訓話」シリーズの中の「モード家の一夜」では、煮え切らないジャン・ルイ・トランティニアンに我が身を置き換え、「クレールの膝」のエロティシズムにドギマギした頃にはすっかりロメールの術中にはまっていた。忘れられないのは1984年の「満月の夜」。ポンパドールがお似合いだったパスカル・オジェの実像さながらに不安定な様子と、エリ&ジャクノのキュートなエレポップ。丁度フラットフェイスのアルバムを作っていた時期と重なり、フラジャイルでルナティックだったあの時代の記憶と符合する。インディペンデントな動きが活発化した80年代、インディビジュアルな映画も元気だった。100才過ぎても、映画撮っていて欲しかった。

Thursday, January 14, 2010

「よし田」の鯛茶漬け

Rimg0007-1「よし田」は、天神にある割烹の店なのだが、ボクはもっぱら昼メニューの鯛茶漬けでお世話になっている。天ブラをして昼時になり、ふと思い出しては立ち寄ってしまう。「正福」の焼き魚もいいが、酒を飲んだ翌日に汁物が欲しくなった時に頭に電球が点くようにひらめいてしまうのだ。で、これが滅法旨い。どう旨いかというと、二度旨いのである。
 まず一度目は、秘伝のごまだれに浸され、海苔とワサビが載った鯛を良くかき混ぜたあと、箸でつまみ上げ、ご飯のおかずとしていただく。ここでは、いきなり茶漬けに行くことは、一応御法度なのである。ぷりぷりした鯛の切り身が、おひつの中で適度に水分が飛んだホクホクのご飯に突撃命令を下だす。もうこのまま食べ続けたいという衝動と戦いながら、あっという間に一膳目が終わる。二膳目のご飯は鯛がまだ半分以上残っていることを確かめつつ、かなりたっぷりめによそう。そして、未練がましくまたお刺身定食を続け、いよいよ鯛が残り半分になった頃合いを見計らって、急須に入った熱いお茶を一気に注ぎこんでしまう。これで安心、という感じで沢庵を一切れ口に入れた後、遂に決戦の時を迎えるわけである。まあ、実況中継はこれくらいにしよう。二度目の旨さは、もはやはいわずもがなだろう。どんなブイヤベースも相手にならない世界最強の”お米入り突然魚スープ”に我を忘れる至福の時間が約束されている。
 
Rimg0011-3 そうそう、「よし田」はこざっぱりとした店内のしつらえも魅力のひとつ。まるで小津安二郎の映画のセットのようにキチンとしていて、とても気持ちがいいことも書き添えておこう。

Wednesday, January 6, 2010

毛玉のシャギー

Rimg0021-1 確か中学生くらいの時だろうか、ご多分に漏れずアイビー・ルックの洗礼を受け、アメリカ東海岸の大学生ファッションに目覚めたわけだ。僕は、市内にあるアメリカ文化センターで開かれていた無料の英会話教室に、短期間だけ通っていた。先生は、まだその頃は存在していた春日原の米軍キャンプに所属する若い兵隊さんだった。ところがその先生、いまでは考えられないことだが、授業の途中でセーターの首に手を突っ込み、下に着ているボタンダウン・シャツの胸ポケットからやおらタバコを取り出して一服するのだ。それも、Vネックならまだしも、クルーネックなのだ。「なんて乱暴で、カッコイイ・・」、僕は唖然とした。それも一回ではなく、授業中多分3回くらいはその動作を繰り返していた。当然のようにセーターの首はちょっと伸びていたのだが、そこが又良かった。色は薄いグレーだったか、ちょっとダランとした感じはシェットランドだったに違いない。  
 その後、うっとりするようなアンソニー・パーキンスの着こなしや、いかにもニューヨーカーなウディ・アレンのシェットランド姿をスクリーンで見ることになったのだが、あの若い兵隊さんを越えるものではなかった。肘や脇の部分がすっかり毛玉になったセーターは、なんだか身体の一部みたいだった。そういえば、「シャギー」ってもともとシェットランド・セーターがだんだん毛玉だらけになった様子を指していたらしい。イギリスでは、そうやって親が子に伝えたものらしい。この冬は2枚のシェットランドを手に入れた。さて、立派な毛玉のシャギーに育てることが出来るのやら。その前に、問題は虫食いなのだが。