Thursday, January 29, 2009

カレー臭

Rimg0469 あっという間に時が経つことを自覚するのは、案外テレビを見るときだったりする。「エッ、この前見たと思ったらもう一週間が・・・」、てな感じを『ためしてガッテン』は抱かせてくれる。かなりの長寿番組だと思うのだが、最近は視点が細かくなり、夕飯を食べながらついガッテンさせられてしまうことも多い。しばらく前に見た「鯖のおいしい焼き方」などは、とても役に立った。焼く前にあらかじめ5分くらいレンジを空焼きしておくのが「中はジューシー、外はパリパリ」のポイントらしい。ちょっとガスの無駄遣いっぽいが、やってみると確かに美味しいから仕様がない。当夜は風呂の適正温度みたいなテーマだった。俗に42度と言われているが、実は40度が体には良いとのこと。よく「江戸っ子の熱風呂好き」というが、血圧のことを考えると良くないらしい。あらかじめ熱いシャワーを浴槽の湯に浴びせかけると浴室自体の温度が上がって、体感温度が上がるとのこと。なんだか、鯖の空焼きの変形みたいだ。もうひとつおまけのテーマがなぜか「加齢臭」。熱いシャワーを胸にかけると、中高年が発するという男性特有の匂いがあっという間に消えるらしい。初めて聞いたとき、「カレーを食べた後の息の匂い」かと思ったのだが、今でもこの言葉には違和感を覚えてしまう。昔で言えば、タバコやポマードの匂いと一緒になった父親の匂いだったろうに、最近は思春期を迎えた娘などが言いつのるのだそうだ。僕の父はタバコは吸わなかったが、朝仕事に出る前に仁丹を使っていた時期があった。近くを通っただけであの独特の抹香臭い香りがして、なんだか近寄りがたい大人の世界を感じたものだ。そういえば、司会の立川志の輔さんは仁丹が似合いそうだ。

Wednesday, January 28, 2009

韓国薬膳料理といえど、飲み過ぎは禁物なのだ。

Rimg0445 昨夜は遅まきながらの新年会という名目で、旧友Kさんを囲んだ「K会」復活ヴァージョンをやった。ところは博多区古門戸アパートメント地下にある「Lee's Dining Studio」。料理家、李奈美さんが腕によりをかけた料理をいただくという趣向だ。普段は料理教室などが行われるモダンなスペースで、ケアホルムのテーブルを囲み、ウェグナーの椅子に鎮座して総勢12人の宴席とはまさに初夢のごとし。前菜に手を付けようとすると李さんから「割り箸をお膳の上で勢いよく割ってください、お正月の趣向です」と言われた。仰せの通り箸を割ると、金粉が田ぜりのナムルとコムハニーの上にぱらぱらと舞い落ちる。なんだか風雅な気分。テールスープのコクに舌鼓を打ち、野菜だくさんのチャプチエとはこんなに旨いものかとビックリ。たらの白子の白雪鍋を食べる頃には、酒も回り饒舌に輪がかかる。締めのサンゲタンに行き着いた頃には言わずもがなのことを喋っていたらしいが、あまり記憶がない。その後、2年前に逝ってしまったK会のメンバーSさんの絵が掛かる行きつけのバーでひとしきり飲んで帰宅したのが午前5時。さすがに今日はしんどかった。韓国薬膳料理といえど、飲み過ぎは禁物なのだ。
Lee's Dining Studio http://www.lee-dining.com

Sunday, January 25, 2009

気のせいか、意味深に思える

RIMG0429.JPG きのうから断続的に雪が降っている。街中でもうっすらと積もるくらいだ。こうまで寒いと、後は少しづつ暖かくなることを期待してしまう。バラク・オバマ大統領の誕生も同じようなもので、今まで累積した問題が一挙に雪解けとなればいいのだけれど、そう簡単ではないだろう。ただ、少しづつよい方向へ向かう筋道が示されたわけで、そのことがとても大切なことだと思う。そのために提示されたのは、今さらだけどコミュニケーションのあり方だと思った。それは、人種とか宗教とか、差異がある他者同士が、とにかくお互いに耳を傾ける機会を持つということ。特にサイレント・マジョリティ(我が日本の「世間」)と呼ばれる層における参加型の対話の大切さを示し得たことの意味は大きい。この一見無関心派の人々を政治に巻き込む指導者の出現に、なんだか「冬来たりなば、春遠からじ」という古の言葉を思い出す。でも、ニュースによると、オバマ氏はパレスチナ問題ではイスラエル支持を明言したとのこと。解説によれば、例えば支持基盤であるニューヨークのユダヤ人コミュニティの存在などが無視できないらしい。写真は我が家の愛犬「YUKI」が今朝、公園の雪の中、逆風に立ち止まる姿。気のせいか、意味深に思える。

Monday, January 19, 2009

好きだった女優さんはショートヘアが多い。

ジーン・セバーグ-1 「マイ・ブルーベリー・ナイツ」をDVDで鑑賞。ノラ・ジョーンズは、まぎれもなく気の強そうなインド美人だった。映像は前半やたらスローモーションが多く、15年前ならいざ知らず今となってのウォン・カーウァイ節はいささかつらかったけれど、ナタリー・ポートマンが後半登場して救われた。万引き事件以後、元気がないウィノナ・ライダーの分も彼女にはがんばってもらわねば。思えば、ジーン・セバーグやミムジー・ファーマーなど、好きだった女優さんはショートヘアが多い。加えて、なぜか政治寄りの主張を持った人達でもある。ジーン・セバーグは70年代の過激な黒人運動組織「ブラックパンサー」と関係して謎の死をとげたし、ミムジー・ファーマーは左翼運動に傾倒し、アメリカを出てイタリアでB級映画のミューズになってしまった。「悲しみよこんにちわ」や「モア」で彼女たちが演じた壊れやすく痛々しい女性は、どこかしら実像を反映していたのかもしれない。そういえば、ユダヤ人であるナタリー・ポートマンは、イスラエルの「嘆きの壁」の前で恋人とキスを交わし、不謹慎だとヒンシュクを買ったらしい。痛々しくないところが、時代が変わったあかしなのだろうか。「ジーン・セバーグ・コンプリート」なるDVDを観てみたいものだ。

Saturday, January 17, 2009

チューリップ・スープ

13012009(001)  あったかいスープが食べたくなり、「チューリップ・スープ」へ行った。オーガニック野菜を使った季節ごとのスープが日替わりなのでランチにうってつけなのだ。いつも5種類くらいの中からスープを選び、それからメインを選ぶ。あくまでスープが主体、今回はクレソンにした。実は前回初めて食べたレンコン・スープの意外な美味しさが忘れられなかったのだが、その日は準備されていなかった。どちらかというとクセが強いクレソンも、軍鶏(シャモ)から取った出汁とあいまって、スッキリと優しい。もともとタイで闘鶏用に飼育されていたという軍鶏。タイの古い呼称「シャム」がその名の由来と言われ、台湾や沖縄を経て日本に伝わったらしい。育てるのが容易ではないこの鳥(性質上、お互いに死ぬまで戦うらしい)、野菜もそうなのだだが、大分の農家から直接仕入れられている。たしかに、引き締まった筋肉を持つためかブロイラーにはない上品な旨みがある。メインの野菜ハンバーグには味噌のソース、添えられた春菊のおひたしとジャガイモのニース風も美味しい。7分づきのご飯があっという間に進んでしまう。ふと前を見ると、ウチのさんはオレンジ色をしたニンジンのスープだ。スプーンですくう様子からすると、こちらはトロッとしているようだ。少しご相伴にあずかることにする。濃厚な味でこちらも捨てがたい。気がつくと、もうほとんど残っていなかった、ごめん。
tulip soup チューリップスープ/ 福岡市中央区薬院1-10-6 フォレスト薬院1階
http://tulip.9syoku.com
(写真はニンジンスープです)

Wednesday, January 14, 2009

「風刺的重喜劇」

Rimg0414-1 川島雄三の「愛のお荷物」をDVDで鑑賞する。「幕末太陽伝」くらいしか観たことがなかったのだが、やはり面白かった。公開は1954年、日本の高度成長期が始まる頃。今のご時世とは真反対に人口が増え続ける中、皮肉にも厚生大臣一家が子だくさんになってしまうというコメディである。スクリューボール・コメディみたいな早口のセリフ、時々挿入されるゴダールやフェリーニを思わせる唐突なシーンなど、なかなかモダン。かと思えば、銀座や佃島を始め、本牧亭や赤線などという古き東京が写し出され、「変わるものと、変わらないもの」とが対置される。60年という歳月を経て、46才で早世した川島を始め、小沢昭一や菅井きんなどを除けば個性的な俳優達もそのほとんどは鬼籍に入っている。映画のラスト近く、京都祇園の茶屋の宴会で、ある政治家が「芸子とは、プロスティテュートかアーティストか?」と問うシーンがある。「売春婦か芸術家」ではなく英語で言わせるあたりはラジカルでさえある。一体、「プロスティテュート」などという英語を幾人の大衆が理解し得たのだろうか?当時「風刺的重喜劇」などと称されたこの映画の白眉である。いまさらながら、映画とはやはり高等遊民のなせる技だったのだ、と思った。

Saturday, January 10, 2009

好きなモノの傾向は変わっていないようだ。

Rimg0385 去年の夏、代官山をOさん夫妻に案内してもらい「ARTS & SCIENCE」でイギリス製のベルトを買った。ガッツリした作りが気に入ったのだが、あいにく欲しい黒はサイズ切れだったので茶色をいただいた。なんでも古くからの馬具メーカーのものらしく真鍮のバックルもオールドソックス(?)で長く使えそうに思えた。その後、ブログを見ていてOさんの奥さんが谷中の「classico」で黒を見つけたことを知った。もともと黒が欲しかったわけで、早速問い合わせたがあいにく品切れとのこと。近日中に再入荷らしく、予約させていただいた。待つこと1ヶ月ほど、昨日入荷の連絡をもらい、今日いそいそと銀行へ行き振り込みを済ました。ところがついさっきトイレでベルトを締め直した際、フト見るとベルト穴に沿ってなにやら数字が振ってある。「おや、これって今注文しているベルトの特徴と同じだ」と怪訝になり、外してみるとデザインされたロゴだが「Cliff」とある。うろ覚えだが注文したのもそんな名前だったような気が・・・。確かめてみると、案の定だ。ただし、バックルは真鍮ではなくてクロームで、バックル付近の黒い色はすっかり褪せている。何よりもサイズが30で、注文したのは32である。いつ何処で買ったのかは覚えていないが、好きなモノの傾向は変わっていないようだ。ウエストだけは変化したけど、仕方がない。古い方は、ウチの奥さんに譲ることにしよう。

Monday, January 5, 2009

気がつけば還暦

A-2 長年の友人Kさんに、年賀の電話をした。正月は3日から波乗りに行ったらしい。彼はたしか、50才を過ぎたばかりのはず。2年ほど前までLAに住んでいて、そこでやり始めたというから、ずいぶん遅咲きのサーファーである。最近お気に入りのロングボードを手に入れたらしく、極寒の海も平気なのだ。「寒くないか?」という質問をすると、「海に入ってしまえば、福岡はLAの海よりも楽だ」と言う。意外だったのだが、寒流のせいで LAでは7,8月を除けば、ほぼウェットスーツが必要らしい。寒さもなんのその、少しづつ波に乗れるようになる気分は悪いわけがない。そういえば、年末一緒に温泉へ行き、帰りに阿蘇の大観望に立ち寄った。素晴らしい眺望を観ながら「この景色をこれから何回くらい観れるのだろう」、などとついおセンチなことを言ってしまった。彼は「サーファーは、とても良い波に乗れた時、生きている間に一体何回くらいこれより良い波に出会えるのだろう、と考えるらしい」と言う意味のことを答えてくれた。「老いてますますさかん」とは行かないが、気がつけば還暦を迎える年になった。人であれモノであれ、新しい出会いを求める自分でありたいものだ。

Friday, January 2, 2009

案外ナイス

Rimg0324 年末にレンタルした5本のDVDの内、結局ミュージカルは1本、フレッド・アステアで満足した。1週間レンタルと言っても油断は出来ない。結局1,2本見逃したまま返却することが多いので、今年はそんなことがないように、早めに長尺ものから見ることにした。まずは、ボブ・ディランをマーティン・スコセッシがドキュメントした「No direction Home」。のっけから「ライク・ア・ローリング・ストーン」だ。バックを勤めるのはザ・バンドの前身、ザ・ホークス。丁度フォークからポップスへと転向したとされた後の1966年イギリス公演。観客からの激しいブーイングへ「How does it feel?」と呼応するディランの姿は、まるでパンクだ。それにしても、エレキを持ったことが「裏切り」に映るとは、ロック誕生前夜のオーディエンスはナイーブなもの。ジューイッシュ独特のクールさでパフォーマンスするディランはクシャクシャ頭に細いスーツとレイバンのサングラス。当時の彼はスタイリッシュだった。マリア・マルダーのミニスカート姿や、アル・クーパーが「ブロンド・オン・ブロンド」セッションにオルガンで参加した逸話なども面白かった。もう一本は、ずいぶん前に観たスタンリー・キューブリックの「バリー・リンドン」を観直すことに。圧倒的な映像美と精緻な時代考証やコスチュームの素晴らしさに、しばし時を忘れる。なんでも、当時の貴族のお洒落「付けぼくろ」の位置は、ずいぶん研究したらしい。内容は昼メロなのだが、あちこちにキューブリックの毒がまぶされていていっこうに退屈しない。バッハやシューベルト、特に主題を奏でるヘンデルの「サラバンド」もよかった。こうなると、主役がライアン・オニールってところも案外ナイスなキャスティングだったのかもしれない。写真は、今朝、ウチの愛犬がくわえて帰ってきた縫いぐるみ。おなかを押すと「コラ、会社行け!」という声がする。明日から店を開けます。今年も、よろしくお願いいたします。