Friday, March 30, 2012

aka ソーエツ。

Img 0426 さて翌々日、道頓堀にある老舗喫茶店のモーニング(タマゴサンドセットで 1200 円というメリハリの効いた値段)でケリを入れて、いよいよ大阪城の近くにある歴史博物館へ向かった。結論から言うと、とても素晴らしい内容だった。「西洋から東洋」へと柳宗悦の関心がシフトしてゆくきっかけとなった朝鮮の焼き物など、以前民芸館で観たものよりこちらもメリハリが効いていて、実に見応えがあった。場所と展示の仕方が変わると、モノの見え方も変わるということか。若き白樺派時代のキリッとしたポートレイトにも、明治生まれの日本人らしい品格を感じた。話が横道に逸れるが、僕はいまでも彼の名前を「そうえつ(発音的にはソーエツ)」と呼ぶことのほうが多い。これは、僕にかぎらず、周りの友人や仕事仲間も同じで、時々「やなぎ・むねよし」と訓読みする人がいると思わず「ソンケー」してしまう。でも、展覧会の冒頭の所にも宗悦(むねよし、通称そうえつ)と書いてあるので、案外みなさんそう呼んでいたに違いない。 1500 年ほど前、日本に文字がないころに中国から漢字を輸入し、(勝手に)日本語の読み方にしたのが訓読みであり、元の発音に近いのは音読みだろう。そういう点では「そうえつ」のほうが彼らしいとも言える。だって、彼は朝鮮やその向こうの中国への思いを大切にしていた人だから。いっそのこと「ソーエツ」とカタカナにして、ことさら外来っぽくするのも手かもしれない。イチローの例もあるように、そのほうがポピュラリティも増すってこともある。そういえば、息子の柳宗理にいたっては、ほとんどの人が「ソーリ」と呼び、「むねみち」とは呼ばない。それだけ親しみが増した証拠にちがいない。

Friday, March 23, 2012

”たれ”の2度漬けは厳禁。

Img 0341-1 「柳宗悦展へ行きませんか」との誘いに同意したものの、 ” ミンパク ” での展示につい時間を忘れたためなのだが、気がつくと夕方、今からでは間に合いそうにない。明日は休館日らしく明後日の最終日に駆けつけることにして、ひとまずごはんを食べることに。なにか食べたいものと言われて、未経験の大阪といえば「アレ」しかないと思い「串かつ」をリクエスト。それなら、ということで通天閣へ向かった。「新世界」という地名も面妖なこのあたりは、泥臭い独特の雰囲気で、パリで言えばバルベスってとこか、いや、行ったことはないがジャマイカはキングストンっぽいのかも。気が付くと、先導する田丸さんはさっさと男の人と一緒に先を歩いている。てっきり友人かと思ったのだが、実は美味しい串カツ屋を知っているというので案内してもらうことになったらしい。ほどなく店に着いてみると、男はそこで働いている人であり、なんのことはない客引きだったのだ。それはそれとして、さっそく初の串カツに挑戦しようとすると、 ” たれ ” の2度漬けは厳禁というナニワの掟が告げられる。思い切りドブンと沈没させないと、やり直しは効かない。少なくとも一人 20 本以上は平らげただろうか、気がつくと串入れはみんなの竹串で一杯になっていた。大阪には、そのつど経験しなければならない事がある。

Sunday, March 18, 2012

「ミンパク」

Img 0326 大阪出張の際、国立民族学博物館へ行ってみた。「ミンパク、面白い!」と、何人かの友人から聞いていたが、その半端ない数と量に驚いた。世界中から集めた、主に生活にまつわる道具や用具、衣服、装身具などがコレデモカという感じに集められている。地球誕生から現在までの 46 億年の歴史を 1 年 365 日のカレンダーで表わすとすれば、 12 月 31 日大晦日にホモ・サピエンスが現れ、午後 11 時 59 分 58 秒に産業革命が起こったことになるらしい。つまり、これらのモノたちが作られたのは一瞬前の出来事なのだということか。そんなことを思いながら見るうちに、世界各地の「用の具」には、その土地の風土に根ざした独特の発展をしたモノもあるのだが、おしなべて言えば、やはり共通する形や機能が備わっていることがわかる。ところが、日本の展示室に入った途端、様子が一変した。それまでの石や鉄などから、一気に紙や竹の世界へガラリと変わってしまい、なんだか異空間に入ったような錯覚におちいった。それも祭祀なのに使うオーナメントが多い。「八百万の神々」とともに生きてきた人々の生活が色濃く反映されているのだろう。
大阪出張の際、国立民族学博物館へ行ってみた。「ミンパク、面白い!」と、何人かの友人から聞いていたが、その半端ない数と量に驚いた。世界中から集めた、主に生活にまつわる道具や用具、衣服、装身具などがコレデモカという感じに集められている。地球誕生から現在までの46億年の歴史を1年365日のカレンダーで表わすとすれば、12月31日大晦日にホモ・サピエンスが現れ、午後11時59分58秒に産業革命が起こったことになるらしい。つまり、これらのモノたちが作られたのは一瞬前の出来事なのだということなのだ。そんなことを思いながら見るうちに、世界各地の「用の具」には、その土地の風土に根ざした独特の発展をしたモノもあるのだが、おしなべて言えば、やはり共通する形や機能が備わっていることがわかる。ところが、日本の展示室に入った途端、様子が一変した。それまでの石や鉄などから、一気に紙や竹の世界へガラリと変わってしまい、なんだか異空間に入ったような錯覚におちいった。それも祭祀なのに使うオーナメントが多い。「八百万の神々」とともに生きてきた人々の生活が色濃く反映されているのだろう。