Thursday, January 17, 2013

2回目の鳥取展。

去年の10月、2回目となる鳥取展の買い付けのため、ENOUGHの仲間と一緒に鳥取へ向かった。博多から岡山まで新幹線で約2時間。そこで在来線の特急「いなば」に乗り換え、中国山脈をガタゴト揺られること2時間、計4時間くらいの旅なのだが、それが一体長いのか短いのか、まったく判然としない。今もって鳥取と島根の境界が不案内なくらいで、なんだか実際の距離より随分遠く感じてしまう。そんな「わざわざ感」があっても訪れたくなるのは、そこが「れっきとした田舎」だからにちがいない。鳥取には、昔からの手法を生かしながら、それにひと手間、ひと工夫を加えた様々な「民具」ともいうべきものをこしらえている人達が暮らしている。それは、先代はもちろん、2代目や3代目のひと達の頑張りのおかげでもあるが、なかにはこの地へ「移住」してきたひともいる。一度途絶えてしまった工芸をもう一度復興するためにやってきたのだ。一昔前まで、天気予報で"裏日本"などと呼ばれていたマイナーな地へあえて「入植」する感覚、クールではないか!「地方分権」や「道州制」も結構だが、田舎と都会で人の行き来が増えることこそ面白いし、スリリングだ。面白い、といえばこの張り子のお面の奇天烈さ、いかがですか?左は獅子舞の時に獅子をあやす「猩々」、右はどんな悪口雑言も許される「はなたれ」。『柳屋』さんのご夫婦が手間ひまを惜しまず作るお面は文句なしのアヴァンギャルド。「伝承とは実のところ、ラジカルなのだ」という証拠である。26日からorganで始まる「GO!TOTTORI」展を前に、イヤガウエニモ気分が燃えるのであります。

Sunday, January 6, 2013

オフ・ビートな街、ヘルシンキ(3)。

ヘルシンキを好きな理由のひとつに、トラムが走っていることがある。人口50万人という、首都としては慎ましいサイズのこの街にはジャストな乗物だと思う。今回の滞在では5日間使えるツーリスト向けのパスを買った。トラムはモチロン、バスや地下鉄も市内だったら乗り放題。といっても僕はトラムばかりで、3Tと3Bという市内を8の字にめぐる路線が多かった。その路線は中央駅からオリンピック競技場などを経て一旦市の中心部へ戻り、その後シリアラインなどが発着する港の方をめぐるもので、ズーっと乗っても1時間はかからない。ガタゴト揺られながら街並みをぼんやり眺めていると、この街には案外むき出しの岩礁やアップダウンが多いことに気づかされる。なにより、ヤレあっちの陶器屋とか、こっちのガラス屋など、そう遠くはなくとも、歩くとそれなりに疲れる距離を、切符を買わずに気軽に行けるのがありがたかった。そういえば、他の街では乗車の際にパスを車掌に提示、もしくは機械に読み取らせることが多いのだけれど、この街ではその必要がない。しかし、たまには車内検札があるらしく、不正乗車には厳しい罰金が課せられる。今回僕は5日間で2回もそれに遭遇してしまった。知人から聞いていた通り、前方と後方から乗り込んできた係官はかなり屈強そうで、これなら不届き者もおとなしくするしかなさそうだ。でも、他者との関係を前提にしたこのシステム、果たして日本で機能するだろうか。「我ら島国に住む同胞」という感覚をなんとなく共有してきた僕らは、同じ国に住む者への信用が変に強かった。しかし、そんなお国柄も過去のものになりつつあるようだ。もちろん、様々な意見の存在を知り、ちゃんとした「他者」への関心を持つには、まだまだ時間が必要なのだけれど。おっと、新年早々話がややこしくなってきた。参議院選挙まで半年、この間にしっかり考えなければならないことばかりだ。