Sunday, January 6, 2013

オフ・ビートな街、ヘルシンキ(3)。

ヘルシンキを好きな理由のひとつに、トラムが走っていることがある。人口50万人という、首都としては慎ましいサイズのこの街にはジャストな乗物だと思う。今回の滞在では5日間使えるツーリスト向けのパスを買った。トラムはモチロン、バスや地下鉄も市内だったら乗り放題。といっても僕はトラムばかりで、3Tと3Bという市内を8の字にめぐる路線が多かった。その路線は中央駅からオリンピック競技場などを経て一旦市の中心部へ戻り、その後シリアラインなどが発着する港の方をめぐるもので、ズーっと乗っても1時間はかからない。ガタゴト揺られながら街並みをぼんやり眺めていると、この街には案外むき出しの岩礁やアップダウンが多いことに気づかされる。なにより、ヤレあっちの陶器屋とか、こっちのガラス屋など、そう遠くはなくとも、歩くとそれなりに疲れる距離を、切符を買わずに気軽に行けるのがありがたかった。そういえば、他の街では乗車の際にパスを車掌に提示、もしくは機械に読み取らせることが多いのだけれど、この街ではその必要がない。しかし、たまには車内検札があるらしく、不正乗車には厳しい罰金が課せられる。今回僕は5日間で2回もそれに遭遇してしまった。知人から聞いていた通り、前方と後方から乗り込んできた係官はかなり屈強そうで、これなら不届き者もおとなしくするしかなさそうだ。でも、他者との関係を前提にしたこのシステム、果たして日本で機能するだろうか。「我ら島国に住む同胞」という感覚をなんとなく共有してきた僕らは、同じ国に住む者への信用が変に強かった。しかし、そんなお国柄も過去のものになりつつあるようだ。もちろん、様々な意見の存在を知り、ちゃんとした「他者」への関心を持つには、まだまだ時間が必要なのだけれど。おっと、新年早々話がややこしくなってきた。参議院選挙まで半年、この間にしっかり考えなければならないことばかりだ。