Saturday, December 26, 2009

「音のある休日」#14

Olafur 1(2) オーラブル・アルナルズ / ファウンド・ソングス 
 レコード屋で「ポスト・クラシック」と銘打ったCDを見かけた。試聴するとピアノとヴァイオリン、そしてチェロがとても心地いい。迷うことなく即買いしてしまった。
 「クラシックの次」といったカテゴリーなのだろうか、確かにポップス好きの人にも充分アピールしそうな明快さがある。ピアニストであるオーラヴル・アルナルズはアイスランド出身。余分なものをそぎ落とした静謐な音に、北大西洋の澄み切った空気を感じることが出来る。
 そろそろ師走。何かと気ぜわしいこんな時だからこそ、あえて椅子に座り、ゆったりと音楽に身をゆだねる時間が欲しい。無理な相談だろうか?
(西日本新聞 12 月 13 日朝刊)

Thursday, December 24, 2009

Homemade Music

Rimg0047-1 東京で長い間音楽関係の仕事をしていたHさんが、つい最近福岡へ居を移した。その彼がCDをドサッと貸してくれた。見ると、そのほとんどがアメリカの、それもルーツ・ミュージックみたいなものが多い。ピート・シーガーやニッティ・グリッティ・ダート・バンドなど聴いたものもあるが、そうでないものもある。その中にデヴィッド・グリスマン関係のものが3枚あった。ジョン・セバスチャンと一緒のやつは聴いていたのだが、残りの2枚はいずれもジェリー・ガルシアとの共演で、前から気になっていたもの。まずタイトルに惹かれ聴いたのは1993年発表の"Not For Kids Only"というアルバム。ガルシアの優しい歌声とグリスマンのマンドリンやバンジョーでトラッドを子供に聴かせる趣向だが、確かに大人が聴いてこそ楽しめそう。もう一枚の”The Pizza Tapes"のほうはブートレグで流通し、デッド・フリークの間で密かに愛聴されていたもので、高田渡さんが生前Hさんに「ぜひ聴くように」、と薦めたCDらしい。リラックスした中にも名手達の息づかいが聞こえるようでとても素晴らしい。「天国の扉」や「朝日の当たる家」なんて名曲からマイルス"So What"まで飛び出すのだからタマラナイ。ザ・バンドで聴き馴染んだ”Long Black Veil"にはひとりグッと来てしまった。70年代はヒッピー気分で聴いていたものだが、実はホームメイドな雰囲気を持つアメリカならではの音楽なのだと合点する。

Sunday, December 13, 2009

EVERESTのセーター

やっぱり穴が空いていた。しかも、よりによってEVERESTのセーターなのだからしゃくに障って仕方がない。といっても、キチンと防虫剤を入れなかった自分のせいだからあきらめるよりない。ビームスのスタッフに聞いたら、やはり虫というものは柔らかいウールから先に食ってしまうらしく、スメドレーなんかは大好物だとのこと。そういえば、安物は全部無事である。それにしても、これは奥さんからのプレゼントだったはず。ここはダメージ加工だと開き直り、かまわず着てしまおう。と思っていたら、レンガ色の新しいヤツをプレゼントしてもらった。こんどこそ、大切に着なければ・・・。

Saturday, December 12, 2009

twitter

最近twitterにハマッてる人が多い。 N君が最初で、最近I君も始めたらしく、さかんにその面白さを吹き込まれる、というか、勧誘される。ヤブサカではないものの何処が面白いのかが判然としないからしようがない。ただし、包囲網が縮まってきた感があることは確か。140字以内というのがイイ。(以上約140字)

「音のある休日」#13

Swami 1 スワミ・ジュニオル / オウトラ・プライア
「イパネマの娘」が発表された1963年以来、ボサノバは世界中を駆けめぐり、今もその斬新なサウンドは人々を魅了し続けている。単にお洒落なだけではなく、サンバやショーロなどのブラジル伝統音楽をはじめ、古くアフリカからの音楽的記憶をも内包しているからだろう。
 様々なミュージシャンに信頼されてきたギタリスト、スワミ・ジュニオル初のソロアルバムには”サウダージ”と呼ばれる深い哀愁と、都会的な洗練が同居している。ネイティブとアフリカ系、そして西欧というミクスチャーが生んだ”つづれ織り”のようなクラフト感が大きな魅力ともなっている。ゲストの歌もそれぞれに滋味深く心にしみる。
(西日本新聞11月29日朝刊)

Sunday, December 6, 2009

ジョナサン・デミ

Rimg0029-2 ジョナサン・デミといえば「羊たちの沈黙」でヒットを飛ばした映画監督。ほとんど忘れかけていた人なのだけれど、新作「レイチェルの結婚」をDVDで観ると、やはり面白い。設定は姉の結婚式。元ドラッグ依存症の妹を中心に、多様な人々をドキュメント・タッチで描いている。一見、アルトマンの"Wedding"にも通じる群像劇ともいえるのだが、こちらのほうは皮肉度は低く、そのかわりに今のアメリカの匂いがしている。結婚相手は黒人、その甥っ子はイラク戦争から一時帰国した兵隊。パーティーを盛り上げる音楽も多彩だ。ブズーキを使ったり、インドっぽかったり、ジミヘンまがいやR&Bまでごった煮状態なのだが、どれもが映画にしっくり来ている。ついさっき、我慢できずにサントラをアマゾンでワン・クリック買いしてしまった。そういえば、彼はトーキングヘッズのライブ映画「ストップメイキング・センス」や、「サムシング・ワイルド」などで当時のNYを中心にした先端音楽への敬愛ぶりを示していたっけ。特に「サムシング・ワイルド」はそのクレージーな内容に、当時かなり興奮してしまった思い出がある。フィーリーズ(必殺”Fa C-La ”)がデビッド・ボウイの”Fame"をパーティーの場面でペナペナに演奏するシーンがあったり、ジョン・ケールやローリー・アンダーソンがスコアを書いたりしていた。時は1980年代中頃。レゲーにダブやアフリカン、パンクとUKニューウェイブ、そしてヒップホップなどが混然となって僕の頭を駆けめぐっていた時期だ。貿易センタービルも健在だった。