Thursday, November 27, 2008

男っぽい

Fran-1 寒くなってくると、ワッフルやフリース、ダウンベストが出番を待っている。でも、上半身は万全に準備できても、下半身の選択肢は意外に少ない。Gパンは寒い朝一番に足を通す時ヒヤリと冷たいからと、久しぶりにウールのパンツを引っ張り出した。グレイのフランネルだ。昔、母はフラノと言っていた。そういえば、コーデュロイはコール天だった。米軍が払い下げた作業ズボン(今で言うチノパン)をはいて帰ると「そんな菜っ葉(?)ズボンはいて」、と注意された。そんな時代のフラノはハイカラなよそ行き用だった。VANやJUNのショップでも、ついフラノ素材のブレザーに目がいった。でも、いざ着るとなんだかモコモコしていて、僕には似合っているようには見えなかった。多分、ちょっと厚手だったのだろう、あまり着る機会はなかったような気がする。その後、初めてのパリ旅行の際、友人から「グレイ・フランネル」というオード・トワレをおみやげに頼まれた。彼がフランスで仕事をしていた時気に入って使っていたものの、日本に帰ってみるとまだ輸入されていなかったのだ。ギャラリー・ラファイエットでようやく手に入れたボトルはその名の通り小さな灰色の袋に入っていて、とてもお洒落に見えた。少しだけ手首に試すと、それまで知っていた柑橘系とは違った男臭い香りだった。先日、その友人と久しぶりに会ってメシを食べた。酒も回って世相の話になり、例の防衛省幹部の「中国侵略否定説」の話になった。すると、その友人は「侵略は否定しないけど、あの当時の日本は欧米の帝国主義に追いつこうとしたわけで、別に悪いとは思わない」と言った。僕は、「もはや終わりかけていた帝国主義を追っかけた日本の先見性のなさ」みたいな論をぶちあげた。もちろん彼は、もうグレイ・フランネルを付けてはいなかったが、やはり男っぽいことには変わりがないようだった。持つべきは、他者的友人だ。