Tuesday, November 11, 2008

末永いおつきあい

Rimg0194 先日、友人の結婚披露宴に招かれた。新郎は開店当初のお客さんで、その後家族同様の付き合いを続けさせてもらっているN君。彼にはホームページを作ってもらったり、海外に買い付けに行く折りに店の留守をお願いしたりと、とてもお世話になっている。そんなわけで、挨拶を頼まれたときも断る理由が見つからなかった。でも、実は随分以前、勤めていた会社の若いスタッフの披露宴に「歯が痛いから」などという子供だましな理由を付けて出席しなかった位、こういう席が苦手である。前日の夜は、さてどんな話が出来るだろうかと、あれこれ思案した。でも、妙案が見つからない。少しは知っているつもりでいたデザイナーとしてのN君の資質にしても、いざとなるとどうすれば伝えることが出来るのかと困ってしまい、観念して寝てしまった。当日、式直前になって司会者の人から「今日はよろしくお願いします」と釘を刺され、予感が的中した。仲人なしの場合、新郎側のご挨拶ということは、トップバッターなのである。実は、乾杯を終え、せめて一杯でもアルコールを流し込んだ後で臨みたかったのだが、万事休すである。指名されると、意を決して席を立つしかなかった。話している途中で自分の声がこまかく震えているのがわかった。普段は断定的な強弁を振るうくせに、これではまるで小学校の弁論大会だ。だが、このふるえ声を感極まった風に解釈してもらえればラッキーかもしれない。席へ戻り、新郎新婦の顔を覗いた時には、まるで、敵失でホームに生還したような気持ちだった。これに懲りず、二人には末永いおつきあいを願うしかない。