Sunday, November 16, 2008

アメリカ気分

Rimg0387 スフィアン・スティーヴンスを初めて聞いたのは、1年ほど前だったと思う。アメリカから届いた期待のSS&Wのアルバムという触れこみだったけど、聴いてみると僕らの世代が知っているSS&Wとはかなり様子が違っていて、すっかり感心してしまった。バンジョーがポロンポロンと響き、それとは対称的にブラスやオーケストラといった音響がオーバーラップするスタイルに、鈴木惣一郎とヴァン・ダイク・パークスが出会ったような音だと思った。そこには、R&Bやソウル・ミュージックといった黒人音楽からの影響が見あたらない。にもかかわらず、スピリチュアルと言っていいような雰囲気が漂ってもいる。そんな思いを強くしたのは、最近手にした”The Welcome Wagon"という白人夫婦ユニットのアルバムを聴いてからだ。スフィアン・スティーヴンスがプロデュースしているのだが、古き良き時代のいかにもワスプな白人夫婦のポートレイトを模したジャケット・デザインにスフィアン自身のアルバムとの共通性を感じた。というか、旦那さんがかぶっている麦わらのテンガロン・ハットに目が釘付けになってしまった。僕がゴーストランチの売店で買った10ドルのテンガロン・ハットにそっくりなのだ。どうも、まだアメリカ気分が抜けきっていないようだ。で、肝心のCDなのだが、まるでシェーカー家具に囲まれたような気分で、もちろん悪いわけがない。1曲目の”Up On A Mountain"と、7曲目”American Legion”が白眉だ。
The Welcome Wagon / Welcome to the Welcome Wagon (Asthmatic Kitty Records AKR 045)