Monday, March 29, 2010

「音のある休日」#21

Shione 湯川潮音 / Sweet Children O'Mine 」
初めて湯川潮音の歌声に接したとき、我知らずドギマギしたことを覚えている。少女期には聖歌隊で歌っていたという彼女のたおやかな声が、明瞭な日本語となって真っ直ぐに耳に届くと、逃げ場がないような気がした。受け止めたいが、果たして自分に出来るのだろうか?という思いに駆られた。
 ミュージシャンの父のもと、幼少時からアメリカのロックなどに親しんでいた彼女は、今回初の英語によるカバー・アルバムを発表した。「ドント・ウォリー・ビー・ハッピー」など、いつかどこかで聞き覚えのある曲が、フォーキーな演奏をバックに伸びやかに響く。「自我を持ってしまった天使の声」とでも言えばいいのだろうか。癒されるのを待つのではなく、みずから癒す勇気がわき上がってくる。
(西日本新聞 3 月 28 日朝刊)