Wednesday, March 3, 2010

「音のある休日」#18

「エブリボディ・ラヴズ・ユー」   ボビィ・アンド・ブラム

Bobby 「アンニュイ」という言葉ほど、このCDにピッタリのニュアンスはないだろう。歌っているのはスウェーデン人女性、演奏はドイツ人男性。ベルリン在住の静かな男女ユニットである。
 一見気だるそうなボーカルは、クセになる程心地いい。演奏はギターによるアルペジオと簡素なピアノやオルガン。そして密やかな日常音。いわゆる「エレクトロニカ」と称される音楽なのだが、実際には生音の響きを大切にした音作りがなされている。
 弱々しい音楽なのかもしれないが、「弱さ」というのも特徴であることに変わりはない。時には「強さ」よりも深い表現となる。まるで”つぶやき”のように、寄り添ってくれる音楽だ。
(西日本新聞 2 月 14 日朝刊)