Monday, March 15, 2010

「音のある休日」#20

Kevin Barker Sleeve 「ユー・アンド・ミー」 ケヴィン・バーカー
 1967年、ニューヨーク近郊の芸術家村ウッドストックにある通称ビッグ・ピンクの地下室で、隠遁中のボブ・ディランはザ・バンドとセッションにいそしんでいた。この地が、その後行われる史上最大の野外コンサートで歴史に名を残すことになるとも知らずに・・・。このアルバムを聴きながら、そんなことを思い出してしまった。
 40年以上の歳月を経てまた、長髪にセルロイドの眼鏡をかけた若者の歌に音楽の力を感じている。その内省的な歌声は仲間と一緒だからこその響きなのだろう。コンピューターに頼らない生身の演奏だ。彼は、自分たちの音楽コミューンのツアー映画も撮っているらしい。観てみたいものだ。
(西日本新聞 3 月 14 日朝刊)