Friday, November 12, 2010

リヨンでブション

Img 2530 買付の旅では、食事は適当に済ますことがほとんどなのだが、今回は、リヨン=美食の街と聞いて、多少の下調べをした。すると、<ブション>と呼ばれる伝統的なリヨン料理を提供する店が良い、とあった。といっても大衆的な店のようで、いわゆるレストランってやつが苦手な僕でもOKそうである。
 到着した昼に、さっそくホテルの近くのブラッスリー“Le Sud”にランチを食べに行ってみた。ポール・ボキューズというヌーヴェル・キュイジーヌで有名な料理人が経営する店で、ブションではない。名前通り、南系の料理なので、クスクスとスズキのグリルを食べてみた。どちらも美味しかったが、味付けが甘めだった。しかし、スタートとしては申し分あるわけがない。その夜は疲れもあってメシ抜きでバタン。
 次の日は早朝からアンティック・フェアに出向き、フラフラの体で市内へ戻り、ランチを食べに、ガイドブックにあった近場のブション街へ。とりあえず一番それらしい構えの店に入り、虎の巻を出して品書きに見入る。壁中やたらに牛の剥製やらが飾ってあり、ここは元来肉屋だった様子。だから、多分肉を食べたのだろうが、記憶がない。つまり、そんな風。でも、バターと塩分が強かったことだけは覚えている。その後、やっぱりバタンで夜抜き(ま、ワインは飲んでたけど)。
 翌日は、蚤の市へ出向いたのでそこにあるカフェで昼の定食、シュークルート。ソーセージも名物らしいのだが、やはり塩分がきつい。酢キャベツが体に沁みたね。バイク好きが溜まる店みたいで、昼からみんな良い調子。僕も負けずにワインをピシェにていただく。夜は、調べておいた“Chez Paul"を尋ねて市庁舎付近をウロウロ。ようやくたどり着いたものの、予約で満員だった。もう一軒近くにリアル・ブションがあったはずと、疲れた足を引きずりつつ行ってみると、そこも満員御礼。予約という手間を省いた僕らが甘かった。美味しいブションの人気は予想以上のようである。そういえば、観光通りのブションにはなかった公認マークがあるじゃないの。コレ探してたんだよなー。
 続く日曜と祭日だった月曜は、どこも軒並みお休み。あきらめ切れず、最終日13時30分のTGVに乗る前、ランチに再トライ。12時開店と同時に席に着き、「タブリエ・ド・サプール(牛の内臓にパン粉を付け、衣を付けて焼き、クリームソースで食す。癖がなく旨し)」と、「クネル(魚のすり身をはんぺん状にしたものをバターソースで。これ又旨し。)」を急ぎ平らげる。もう時間切れなので、勘定をお願いすると「なんでデザートを食べないんだ!」と、丸々太ったオヤジに一喝されて、これまた手作りのプリンにリンゴソースとプラムジャムを、なんなく胃袋に治め、タクシーに飛び乗った。