Sunday, February 21, 2010

少しだけパリと仲良くなれる気がした。

Img 0084 「なぜ旅へ出るのか」という質問には、「足があるから」と答えてみよう。ほぼ終日をかけ、自分の足で街中を歩き回る商売をしているから「足こそ命」なのである。ヨーロッパは凸凹の石畳が多い。そのうえにメトロでの煩雑な乗り換え時などは、イヤになるほど階段を上り下りしなければならない。時差をかかえたままノミの市などを探索し、小さなアイテムを見つけ、ついしゃがみ込んで子細に品定めなどしようものなら、立ち上がったときにクラクラと立ちくらみなどを起こしてしまう。で、それが苦痛かと言われるとそうでもないから不思議なものだ。なにせ、いいものを見つけたい一心なのだ。しかし、さしたる成果がないときなど、自然に足取りは重くなってしまう。それでも、限られた時間の中、また一歩足を踏み出さざるを得ない。そんなとき、人に会うとリフレッシュすることが出来る。今回は、ユカリンから紹介されたパリに住む若いアーテイスト達と、マレにあるカフェでランチを食べることになった。3人のなかで生粋のフランス人はひとり、革のアーテイスト、ジャック。フィレンツェで勉強した彼は、もとスケーター。最新の作品は自転車のフレームを丸ごと革でくるんだもの。実用というよりも、アルティザンならではのオブジェみたいな作品だ。NY育ちの韓国人ジンは画家。昨日朝まで飲んでいたらしく、気だるそうにハンバーガーを食べていた。韓国で個展を開いたら、作品が全部売り切れたらしい。後で、ユカリンに作品集を見せてもらったら、CGを駆使した近未来都市型カタストロフィーといった雰囲気だった。紅一点アメリは、日本人とフランス人のハーフで目下テキスタイルを試作中。ちょっと幽玄な手描き作品をファブリックに起こし、プロダクトとして発表する予定だとか。とても個性的な顔立ちで、お洒落な人。そうそう、ジャックのアトリエで土足について話していたら、突然自分のブーツを脱いでしまうという茶目っ気の持ち主でもある。短時間ながら彼らとおしゃべりをし、カフェから出ると、さっき店を覗いたときにはいなかったAnatomikaのムッシュー・ピエールが通りかかる。すかさずジャックが僕らを紹介する。前回買い求め、丁度その時ジャケットの下に着ていたシェットランドのセーターを見せるまでもなく、僕のことを思い出してくれた。なんだか、少しだけパリと仲良くなれる気がした。
(ちなみに写真右がジャック、左がジン、真ん中の人は無口な方で失念しました、スミマセン。)