Thursday, June 28, 2012

こりゃー気持ちいいい。

Img 0987  8 世紀にムーア人が造ったという砦のもっと上、標高 500 mの山のてっぺんにペーナ城というポルトガル王の夏の離宮がそびえている。「一大パノラマ」という言葉に弱いぼくは、まずはそこを攻め、然る後にムーアの城跡を訪ねる作戦に出た。 
 ガイド本によると、ペーナ城は 19 世紀にドイツのルードヴィッヒ 2 世のいとこが建築を命じたとある。イスラム、ゴシック、ルネッサンスなどの様式が混在した城らしい。ビスコンティの映画で見る限り、ルードヴィッヒの趣味はかなりビザールだった記憶があって、どんな具合なのかちょっと興味がある。
 狭い山道を、猛烈な勢いで駆け登るバスのおかげで、あっという間に到着。傾斜のきつい庭園の坂を登り切ると、目の前に映画のセットみたいな風景が目に飛び込んできた。城の内部に入ってみると、中国趣味や、トルコ風、果てはトランプルイユまで、これまた各部屋がテーマ別にしつらえてある。もちろん調度品もいかにも手の込んだ工芸品ばかり。帝国主義に至る時代の王様達が、いかにエキゾティックな世界にハマっていたかを垣間見る思い。元祖 VIP によるプライベート・ディズニーランドを見る思いだった。唯一面白かったのは台所。もちろんかなり広いのだけれど、鍋、窯、バスケット、などの道具類には生活を感じた。ちょっとしたブロカントへ紛れ込んだような気分で「もし買い付けるとすれば、あの手作りっぽいテーブルかな ... 」などと妄想に耽る。
 ふと気が付けば、閉館まであとわずか。文句言いつつ、結構な時間を過ごしてしまったようだ。この様子ではムーア人の砦は諦めるしかない。最後に城壁の上をグルっと回って帰ろうとしたら、見えるではありませんか、はるか眼下に大西洋を睥睨するかのような古城が!こりゃー気持ちいいい。