Friday, June 22, 2012

ドロボー市。

Img 1274 「ドロボー市」といえば、パリのモントルイユで毎週末に開かれるのが有名だ。日用品を始めとしたガラクタも多く、その昔は盗品なども出回っていたらしい。中には「めっけ物」もあったりするが、見つけるのには相当の時間と忍耐を要する。もちろん、混雑を狙った現役のドロボーさんも徘徊しているので油断はできない。
 そんなわけで、リスボンのドロボー市にもあまり期待せずに出かけたのだけれど、予想以上に面白かった。キリスト教系のモノを始め、イスラム風手描きのアズレージョ、東洋を意識した陶器類、錫のコップなど、いずれもこの国の古い歴史と多様な文化を感じさせてくれる。値段も悪くない。それにしても日差しが強い。 1 時間も探索していると、手の甲がうっすら日焼けしているのが分かるほどだ。
 そんな中で、いわくあり気な 5,6 個の土くれめいたものを置いた小さなテーブルに足が止まった。聞くと、どれもが大西洋に沈んだ船から引き上げられたローマ帝国時代の遺物だという。一生懸命英語で説明するおじさんは、いたって真面目そうである。自分で作ったという小さな冊子には、沈没船が見つかったイベリア半島沖の場所がたくさん載っている。僕が興味を持った塑像は、ちょっとリサ・ラーソンのスタジオものを思わせる風情があって、古いコインと一緒にいただくことにした。腰布をまとっただけの石の像はすっかり彩色も薄れ、少し湿り気があって、触るとひんやり、そして思った以上に持ち重みがした。