Thursday, June 21, 2012

リスボンの過ごし方。

Img 4817 初めて訪れたリスボンはまぶしい 5 月の陽光のなかだった。アラン・タネールの『白い街』やヴィム・ヴェンダースの『リスボン物語』の映画のシーンみたいに、古いアズレージョ(イスラム風タイル)の壁には洗濯物がハタハタと気持ちよさそうに風にたなびいていた。おかげで、空港からのタクシー代をボラレたうえに、大荷物を抱えてホテルまで 3 ブロックも歩く羽目になったことなど、すっかり帳消しになった。
 焼いただけのイワシとフレッシュな白ワインがとても美味しかった。檀一雄が好きだったという ”Dao" というワインも良かったけど、昼間からやるには何と言っても冷えた白がいい。路地裏の大衆食堂で、小さなピシェ( 2.5 ユーロくらい)と白身魚のトマト味雑炊(パクチーが載ってる)をぱくつく。悪くないリスボンの過ごし方だ。
 ただし、 28 番線の古ぼけたトラムにはご用心。僕はあっさりスリに遭いました。買付け旅を始めて 15 年、初の体験でした。アップダウンが激しく、眺めのいいところや旧市街を通る人気の路線が、スリの活躍の場であることはガイドブックで読んでいたのだけれど、まったくもって情けない。ただでさえ混んでいる車内で、年寄りを通すために道を開けてくれと強引に体を押し付ける男に気を取られている間に、別の男にズボンに入れていた現金を抜かれてしまったのです。どうやら、年寄りも含めた 3 人は一味だったようです。
 だからと言って、この街が嫌いになることはなかったから不思議。次の日は、ケロッとして泥棒市へと向かいました。