Thursday, July 24, 2008

YABUさんの新しいアトリエ

Rimg0042 YABUさんの新しいアトリエが仮オープンしたらしく、行ってみることにした。場所は、福岡にはめずらしい山ノ手にあり、急な坂を登った眺めのいいところである。まわりはリッチなマンションや、洒落たレストランがあって、そのあたりに住むのはちょとしたステータスなのだ。ところが、YABUさんが借りたマンションは、そんな場所には似つかわしくないようなオンボロ6階建て。築40年はゆうに過ぎていて、外装もボロボロ、階段は雨も降ってないのにいつもじめじめしている。実は、以前、僕の友人が住んでいたこともあり、その家賃の安さに驚いたことがある。「パレスチナ・ホテル」などという、彼らしいジョークがピッタリの物件である。部屋は3階で、遠くに福岡ドームやタワーが見渡せて、夕方から一杯やるには打って付けのロケーションだ。ただし、備え付けのエアコンが壊れているらしい。目下、連日30度以上の猛暑が続いている。もちろん、覚悟の上の訪問だった。2DKの白い部屋は、濃いブルーのエア・ベッドと、新作の真っ赤な椅子(YABUさんは家具作家でもある)を除くと、ガランとしている。「砂利を敷きたい」と言っていた床は、とりあえずの板張りだ。早晩、絵の具が飛び散って、ジャクソン・ポロックみたいな床になるのだそうだ。6畳間の真ん中の小さな段ボールの上に、なにやらプロジェクターらしきものが鎮座している。コロナ・ビールを飲みつつ、近くのスーパーから仕入れてきた串揚げをつつきながら、僕らは真っ白い壁に映し出されたDVDを鑑賞した。マイク・ニコルズの「卒業」である。外は夕闇が訪れ、この角部屋には回りの森から案外涼しげな風が吹き抜けてくれる。「キャンプみたい」と、ウチの奥さんが言う。気がつけば、映画は最後のクライマックス場面、ベンジャミンが汗ダラダラで走りに走っている。はっぴいえんどの「夏なんです」が聴きたくなった。