Thursday, July 17, 2008

ケチな買いっぷり

Rimg0528-1 東京をうらやましいと思うことはそんなにないけど、古本を探したくなった時などはそうだ。福岡には、古本屋が少ないように思う。九大があった六本松付近にはいくつかあるけど、昔っぽい品揃えがやはり物足りない。僕は、神田の古書店街みたいなものを望んでいる訳ではなく、散歩の途中に立ち寄って2,3冊気になる本が見つかるような小さな店がいい。その店らしいセレクトが感じられると、もっといい。と思っていたら、先日、顔見しりの店で酒を飲み、フラフラしていた時に見つけてしまった。確か、夜の9時を回った頃だった。歩きなれた界隈のオフィスビルの一階にある小さな区画のショップに、所狭しと本が並んでいた。ただし、看板も出ていないし、中では若い男女二人でなにやら作業中の様子だ。オープン前の準備なのだろうか。出直してこようかな、とも思ったが、酒の勢いもあり、ドアを開けた。迷惑かなと思いきや、「ドーゾ」との言葉に甘え、足元の本に気を付けながらお邪魔する。まず目に入ってきたのは、棚の上に面出しされている武田花の写真集。タイトルは忘れたけど、木村伊兵衛賞を取ったもので、もちろん、すでに廃刊。その隣には、武井武雄のいかめしそうな装丁の本がある。見せていただくと、初版は戦前で、こちらは昭和60年(位だったか)に再発された限定本で、中身はこけしの絵がズラーリ。氏が、コレクションしていたこけしを描き、詳細なデータまで書き添えてある。その顔顔の面白さはかなりのもので、こけしマニアではない僕でも惹かれてしまう。とはいっても、おいそれと買える値段でもない。ふと、東京に住む友人の顔が浮かんだ。確か彼は、こけしが好きだったはずだ。今度、教えてあげることにする(忘れなければ)。棚の方に目をやると、タッド若松が鰐淵晴子を激写した「イッピー・ガール」の背表紙が飛び込んできた。値段をみると、悪くない。でも、すでに持ってる本だし、これも誰かに耳打ちだ。というわけで、二人の仕事の邪魔にならないよう、大急ぎの探索の結果、手に入れたのは武井武雄の「本とその周辺」という文庫本一冊。およそ酔っぱらいらしくない、ケチな買いっぷりといえる。まずは、この本で武井武雄の予習をしておいて、次回限定本を狙ってやろうとの魂胆もあった。で、後日、今度はしらふの昼間に訪れた。しかし、やはりその本はあきらめて格安コーナーから「沖縄の焼き物」という本を買い求めた。出がけにふと、真新しい看板を見上げると「徘徊堂」と書いてある。作戦変更。やはり、この店は、もっと、したたかに酔っぱらってフラフラと立ち寄るべきなのだ。うれしいことに、閉店は10時なのだから。