Thursday, July 10, 2008

今年は、うなぎ食べなくていい?

Rimg0252-2 もうじき、土用の丑の日がやってくる。日本国中の人が、強制的にウナギを思い出させられる日だ。だが、今年はひとあし先に旨いウナギを食ったから、なんとなく余裕である。先週鹿児島へ行った帰り、人吉の民芸店に寄った。なんでも、三大民芸店のひとつだと、同行の友人が教えてくれた。ただ、あとの二店がどこなのかはわからないらしい。つまり、それだけこの店は素晴らしいということなのだろう。実際、とても内容の濃い店で、日本中の良いものはもちろん、アフリカやアジアのものも置いてある。春に買った島根の舟木窯のスリップウェアの陶板の柄違いがあったりして、品の良い奥さんから色々な話も聞かせて頂くことが出来た。かれこれ2時間くらい長居をしてしまった。購買欲と、知識欲が満たされると、次は食欲である。といっても、昼飯はあらかじめ決めてある。すぐ近くにあるといううなぎ屋である。そろそろ行こうかという頃に、偶然そのうなぎ屋の女性が店にやってきた。去年亡くなったこの店のご主人が好物だったらしく、ご仏前へと小皿にうなぎを盛って届けてくれたのである。後で伺う旨を伝えると、「お昼は混み合うので、予約しておきましょう、何時がいいですか?」と聞かれる。まだ、もうちょっと見たい気もするし、30分後にお願いし、その時間に訪ねた。盆地、人吉はやはり暑い。5分ほど歩くと蒲焼きのいい匂いと共にうなぎ屋があった。ただし、そこではなくその隣が目指すうなぎ屋である。二軒並んだうなぎ屋というのも、めずらしい。でも、店の造りから言っても、どっちが旨そうかというのは一目瞭然なのだが。名店のすぐ隣に店を構えるってのは、自信があるのか、商売上手なのか・・・。早速中に入り、メニューに目を通すと、やはり並と、上がある。仲居さんによると、並でも充分とのことで、5人のうち4人は並で、ひとりだけ大柄のGさんは上にする。熱燗でう巻きをつつきながら、ひとしきりウナギ談義に花が咲く。なにしろ1人は東京、2人は大阪、僕ら2人は九州、というわけで同じうなぎの蒲焼きといっても調理法、味付けが違っている。関東はあっさりで、九州は甘口、大阪はその中間といったところか。各々、慣れ親しんだ味が一番なのは言うに及ばない。とはいっても、ウチの近くにある一応有名なうなぎ屋の甘さときたら相当なもので、もう10年ほどはご無沙汰。でも、銀座にある名店の味は、あっさり過ぎて物足りなかったっけ。で、肝心のこの店の味だが、甘からず、辛からず、とても美味しかった。そして、うなぎの量も並で充分。上を頼んだGさんは、びっしりと並んだ下にさらにもう一段びっしりといわけで、満足を通り越して「今年はもう、うなぎ食べなくていい」という状態。それにしても、うなぎ屋の雰囲気って、いい。落語的というか、庶民の贅沢というか、なんだか「民芸」にしっくり来る。つくづく、「偽装事件」は許せないと思う。