Wednesday, November 21, 2012

オフ・ビートな街、ヘルシンキ。

ほぼ5年ぶりに訪れたヘルシンキ。空港からタクシーで市内に入ったのは午後4時過ぎ。11月初旬なのに早くも日が暮れなずみ、街は冷たい雨に煙っている。長い飛行の旅から開放されたと思ったら地上は生憎の天気である。ところが、気分は案外悪くない。タクシーの窓越しに滲んで見えるけばけばしいビルのネオンサインが懐かしい。「大きな期待は無用。ここはオフ・ビートな街なんだから...」と内なる声が聞こえてくる。中心部を抜けて、タクシーは予約していたホテルへ向かう。アンティック・ショップやオークション・ハウスもすぐ近くという、ぼくの商売にピッタリの場所である。チェックインを済ませ、スーツケースや梱包資材を入れた大きな段ボール箱を部屋に放り出し、さっそく街へ繰り出した。そういえば、日本のプロダクトを販売しているcommonという店が近くにあるはず。LAにtortoiseという店があるけど、ここも日本の今の作家たちの作品を積極的に紹介する店と聞いている。6時の閉店まであとわずか、と思ったらワンブロック先に発見しアッという間に入店。聞くと、店主の中村さんは長崎の出身ということで勝手に親近感をいだいてしまい、滞在中に御飯を食べる約束をしつつ、今夜オススメのレストランを教えてもらうことになる。実は前もってチェックしてきた店は最近味が落ちたらしく、オススメできないとのこと。それじゃあと、魚くんを食べたい旨を伝えると、「外見はピンクのネオンが怪しいんですが、MONOCLE の編集長タイラー・ブリュレお墨付きのオニオンステーキもある典型的なフィンランド料理の店はどうですか。アキ・カウリスマキの映画に出てきそうな店ですが...」。ウーン、福岡を『世界で最も住みやすい25の都市』で12位にランク・インさせた人のレコメンもいいけど、なによりカウリスマキっぽい店というのが気になる。それに、名物であるニシンのソテーも美味しいと聞いて、モチロン急ぎ伺うことにした。