Sunday, September 2, 2012

市民実験。

ベルギーは、色々な言語と文化が混在するところ。フランス語、フラマン(オランダ)語、それにドイツ語や英語などが混ざり、地域によって話される言葉が異なっている。そんなわけで、「国民国家とは固有の言語を持つ」というテーゼに反して、ベルギーは独自の言語を持っていない。もともとあった王国が離合集散をくり返し、諸事情の中でベルギーという名前の国家になったのだろう。実際にはフランス語とフラマン語の「言語戦争」や、「カソリックとプロテスタントの違い」みたいなこともあり、国を幾つかに区分していて、そういう意味では小さな合衆国ともいえる。だからなのか、ブリュッセルがヨーロッパの首都と呼ばれ、そこにEUの諸機関があるのも頷ける気がする。ナイーブすぎるかもしれないけど、通貨を統合し、パスポートをなくすってのは、武力行使をしにくくする第一歩。そのことを、長い期間をかけて、話し合いで合意に至ったというところにEUの良い実験精神が現れていると思う。
写真はアントワープの小さな広場で毎週金曜日に行われているオークション。といっても、日用品や、使わなくなった家電、家具なんかを格安の値段で競り落とすという一種のリサイクル。参加しているのはご近所のオジサンやオバサンたちだが、いたって真剣。一部の好事家のものと思われがちなオークションを公道で無作為の人々を相手に展開する。これだって、立派な市民実験と言えないこともない。