Saturday, September 8, 2012

「他者による親密な巣作り」を覗き見ることほど参考になるものはない。

"BELGIAN ARCHITECTS AND THEIR HOUSE"という本を買ったら、「どこに住むか、ではなく、どんなふうに住むか」という意味の言葉が載っていて、ベルギーらしい、と思った。もちろん「どんな環境に囲まれて住むか」ってことも大事だけれど、ガスも水道も来ていない山の中での生活は(あこがれはするものの)所詮ひ弱な都会生活者には考えにくい。となると、「コンクリートのビルで、いかに快適に住むか」ということになる。僕が実践している「靴のままの生活」もその一環にすぎないのだけれど、それはさて置き、ベルギー在住の建築家17名の自宅を紹介したこの本、彼らの生活に欠かせないモノやコトとの関係が見て取れるし、なによりもそれぞれのインテリアがとても気持ちがいい。ごく一般的な広さのアパートに、イームズやヤコブセン、ベルトイアに混じって、オランダのフリソ・クラマーや地元ベルギーのデザイナー、ヴァン・ダ・ミーレンなどの椅子が、しかるべき居場所をキチンと確保している。彼らのチョイスには地理的なことも関係しているのだろう。オランダのデ・ステイル、ドイツのバウハウス、そしてアメリカやフランスのモダニズムなどの影響を受けた選択は、静かでリベラル。安直なインテリア雑誌で提案される「オシャレな空間」とは違い、「自分の巣」のように居心地が良さそうなのだ。「他者による親密な巣作り」を覗き見ることほど参考になるものはない。