Wednesday, August 15, 2012

YABU ONE MAN SHOW @ THEO GALLERY IN ANTWERP

アントワープでの藪直樹の個展は、大交易時代からこの街のかなめだったスヘレデ河に面するTheo Galleryで開催された。去年初めて訪れ、とても気に入ったこともあり、藪さんのヨーロッパ・デビューがこの街になったと聞いて、俄然再訪することを決めたのだ。ブリュッセルを含め、ベネルクス3国には未知のデザイン・ソースもありそうだし、なにより大小様々な蚤の市があることも魅力のひとつだった。
 日本から送った絵のうち、大きな号数のものが3点届かないというアクシデントもあったけれど、高い天井と白にペイントされたレンガ壁にハングアップされた作品はとてもヴィヴィットだった。いい場所を得たことで、なんだか絵達が幸福そうに見える。彼の絵は、思った通り、ヨーロッパにお似合いだ。日本から駆けつけた「蝉」の岡崎さんのギターがソフトでサイケデリックな音を奏で始め、ライブペインティングが始まった。と、やにわに床に敷いた3枚の大きなキャンバスをラフな円錐形(というか倉俣史朗のランプみたいな形)に折り始める藪さん。「オヤ、今回は立体かな」と思ったら、上から絵の具をドリッピングし始めた。そして描き終わり(垂らし終わり)、キャンバスを広げると、そこにはなんとも自由で偶発的な世界が拡がっているではないか。
 最初からこういう感じでやろうと計画していたの?」と聞いてみた。「いや、直前になって今日は短時間で、まったく意図を持たずに、キャンバスの適度な硬さを利用して、しかもポロックみたいにたくさん垂らさずにやろうと。買ったばかりのブーツに絵の具が垂れないか気がかりだったし....」。まったく、この人は日本にいる時と同じテンションでこの街にいるってわけだ。アッパレ。もうすぐ風船画伯を追い越すぞ。