Friday, August 24, 2012

美しいと思ったらそれが廃材だったんだ。



 オランダ南部の街アイントホーフェンにあるピート・ヘイン・イークの2階ショールームからは、家具製作をしている「現場」が丸見えだ。というか「さあ、ドーゾ見てください」という感じ。フィリップスの昔の工場を使って、ショールーム、セレクトショップ、レストランを運営しているわけで、なにより広いし、それに古びたレンガとガラスの建物が抜群に良い感じ。もちろん、いくら器が良くったって使う人次第。しかし、そこはPHEさん、レディメードの良さをしっかり残しつつ、野暮な手は加えていない。ダイナミックで風通しがすこぶる良く、当然「売らんがため」の「可愛らしい」ディスプレーとは縁がない。工場の高い天井には”WE","HE","SHE"という大きなサインがぶら下がっている。労働者のためのスローガンにしては、なんと気が効いていることだろう。そんな環境で製作された家具は思っていた以上に種類が多く、彼が単なるワン・ヒット・ワンダラーじゃないことがうかがえる。値段もレンジが広く、(ボクも買ってしまった)スツールがEUR190から(ゴミ箱はもっと安い)、手間がかかったであろう大物はEUR3500ぐらいなど選択肢も多い。セレクトショップの方は、さながらジェネラル・ストア並の品揃えが楽しく(ボクはハーモニカを買った)、そして一角には(PHEと立ち位置が近い)トム・ディクソンの部屋があるという次第。ところで、彼の代表作である廃材を使った椅子や家具だが、ピートはインタビューで(だいたい)こんな風なことを言っていたっけ。
「廃材だから美しいと思ったわけじゃなく、美しいと思ったらそれが廃材だったんだ」。