Tuesday, June 16, 2009

多国籍ストリート

Rimg0139 東京滞在の最終日、銀座に移転オープンした「craft_one」を訪ねた。原宿にあった同潤会アパートと同じ設計者によるこのビルは昭和2年に建てられたもの。ということは、太平洋戦争の空襲を生き延びたわけだ。福岡と違い東京には、こんな古い建物が残っているのがうらやましい。一階の古色蒼然とした小さなエレベーターを通り過ぎた左隅に目指す店があった。店主のUさんと会うのは久しぶり。最初は8年前か、ストックホルムで買付中に陶器屋の店内で遭遇。北欧ブームの発端ともなった店のオーナーという認識があったので、無遠慮にこちらから声を掛けた覚えがある。その後、目黒通りから移転された原宿の店にも伺った。2階建てのアパート1階奥にある一室は、簡素なしつらえが素晴らしくてUさんのセンスが光っていた。今度の店は、もっと小さい。ルーシー・リーからテッド・ミューリングまで、新旧、価格を問わず、Uさんの世界がギュっと凝縮されている。飛行機の時間もあって、アタフタといとまを告げてNさんの車で最終目的「札幌ラーメン」東京風を食べに下北沢へ向かう。途中東京タワーの側を抜け、飯倉片町交差点の「キャンティ」を横目に六本木方面へ向かう。この先には昔のバンドが移籍し損なった「田辺エージェンシー」があったはずだ。あの時、もし本当に移籍が実現していたとしても、果たして第2のスパイダースみたいになっていたのだろうか(多分、否)。少し登って行った右の角に「ハンバーガー・イン」があって、そのすぐ横の地下に「IN AND OUT」があったはずだ。バスク・シャツやワークウェアに初めて遭遇したセレクト・ショップに、ドキドキするカルチャーの匂いを感じたっけ。そういえば、当時プロデューサーのガールフレンドが勤めていたんだ。大きな目に海焼けした髪、いい具合に色落ちしたベルボトムがよく似合っていた。そんなことを思い出しながら、あっという間に六本木交差点を左折した。寸前に振り返ると、そこは多国籍ストリートだった。
craft_one:東京都中央区銀座1-9-8奥野ビル102 www.craftcraft.net