Wednesday, October 8, 2008

帝さんとMIKADO

Rimg0034  今年もROVAの新入生を迎える季節がやってきた。福岡校も早いもので10周年である。10年前といえばちょうどorganを始めた頃、つまりROVAと organはほぼ同い年ということになる。でも、考えてみると、主宰する小柳帝さんとはそれよりもずっと以前に知り合っている。僕がレコード店に勤めていたときに、高校生だった彼がしばしば立ち寄ってくれていたのだ。当時は80年代ニューウェイブまっただ中で、イギリスやヨーロッパから刺激的なインディペンデントのレコードが、それも毎月のように送られてきていた時代だった。仕入れを担当していた僕は、面白そうなレーベルやプロデューサーの名前を手がかりにして、手当たり次第にオーダーをしていたものだ。そんな中に、フランスのMIKADOと言う名前のユニットの7インチ盤があった。ジャポニズムでもあるまいが、とにかく変なフランス人だろう位の気持ちで試しに1枚だけオーダーした。聴いてみると、はかなげな女性ボーカルとエレ・ポップ・サウンドがとても新鮮で、すぐに自分のキープ棚に仕舞い込んでしまっていた。そんなある日、彼がやって来てカウンターにいた僕に言ったのである、「ミカドっていうグループのレコードありますか?」と。内心、とても驚いてしまった。なにせ音楽誌にもまだ載っていない無名の新人の、それも7インチ盤なのである。しかも、それは僕のキープ状態にある。「ごめんなさい、品切れなんです。どこかでお聴きになったんですか?」と尋ねると、彼は続けてこう言った、「イヤー、僕と名前が同じなんで、興味があって・・・」と。今思っても、とても面白い出会いだったと思う。そして、それ以来ずっと音楽や映画、そしてデザインを通じたつきあいを続けさせてもらっている。それは、「帝さんの目下の興味の対象は一体何なんだろう?」という僕の興味がいっこうに尽きないからだ。そして彼は10年ほど前から月に一度、レコードやCD,そして雑誌や資料で一杯になったトートバッグを手に、ROVAの為に東京からやって来るようになった。ROVAの生徒さん達はそんな帝さんを心待ちにしている。それはきっと、フランス語の授業はもちろんだが、彼が肉声で紹介する音楽や映画に対しても興味をそそられるからに違いない。まずは、18日に行われるイヴェント形式の説明会で、ぜひミカド・ワールドの一端に触れて欲しいと思う。