Friday, June 6, 2008

焼き付けCD

Rimg0094 先週、NHKの番組で本のことが扱われていた。それによると、最近は「売り上げランキング」などを参考に購入する人が多いらしい。そのせいか、ランキング外で面白い本があっても、目立ちにく、売れ残ってしまい、結果として廃刊になることが多いという。大型店になればなるほど、売り上げ至上主義が幅をきかせるためかその傾向は強く、本好きのスタッフなんかは頭を悩ませているらしい。なんだか、困ったものである。ランキングされる本なんて、毎月出版される膨大なカタログからみれば、ごく一部に過ぎないのだから。
 僕の場合は、CDで似たような悩みを抱えている。organで販売するために、面白そうな新譜を見つけてオンラインで問屋にオーダーするのだけれど、10枚の内、「在庫アリ」は3枚くらいだろうか。旧譜にいたっては1枚あるかないかってところだ。新譜といっても、ランキングに登場するようなものではないのだけれど、店にゆけばあったりする。つまり、そうゆうCDは最初のプレス枚数が少なくて、全国の大型店などに行き渡った時点で、在庫切れといった状態なのだろう。なんだか、大量にプレスされる売れ筋CDのあおりを食っているような気がしてならないのだ。
 僕は、ランキングなんてマーケティングのひとつでしかないと思っている。いくらでも操作できるとまではいわないけれど、少なくとも参考にするくらいが関の山。これまで、どちらかというと、ランキングされているものはなんであれ避けてきたといっていい。なんだか「買わされている」ような気がしてならないからだ。どうせなら、自分で仕入れたネタをたよりにしたいと思う。それだったら、もしハズしても自業自得、勉強代だと思えばいい。もし、自分が信頼している人のネタならもっとありがたい。ハズれることは、とても少ないからだ。
 先日のENOUGHのイヴェントの際、grafの服部さんにあるお願いをした。grafがデザインした真空管アンプのお披露目でかけるCDを各々選曲しようというものだ。まずは、僕のほうから焼き付けたコンピCDを送り、それに呼応するように彼のCDが届いた。実は、僕には密かな確信があった。服部さんはトロンボーン奏者なのである。数々のデザイン・ワークをプロデュースするだけではなく、なんと、あの谷啓と同じ楽器を奏でるのである。一体、どんな曲を選んでくれるのか、「期待するな」というのは無理な相談である。で、結果は・・・、あまりの素晴らしさに1曲目から唸ってしまった。どの曲も真空管アンプにふさわしくアコースティックでジャジー、そしてもの悲しく、適度にアヴァンギャルドと、まさにいうこと無し。そのうえ、選曲リストをみると、9人中1人を除いて知っている名前がない。俄然、興味がわいてくる。こんなふうだから、音楽ってやめられない。当分の間、僕の焼き付けCDランキングの1位に輝くってわけだ。