Thursday, February 14, 2013

原住民博物館

台北の故宮博物館の近くに原住民博物館がある。故宮のチケット売り場で、両方が見れる割引セットを買って行ってみた。広い故宮博物館は中国本土からの団 体さんで一杯だったが、狭い原住民博物館には僕ら以外は誰もいなかった。陳列物はなかなか見応えがあった。それにしても、「原住民」という言葉がこんな風 に堂々と使われていると、ここが外国であることを感じる。日本では「先住民」を使い、「原住民」を差別用語としているが、台湾では「先住民族」とは漢語で 「すでに滅んだ民族」という意味らしく、避けている。同じ漢字とはいえ、日本とはニュアンスが違うのだ。現在、台湾全人口の2.1%、14民族の存在を政 府が公認しているという。数は50万人足らずと決して多くはないのだが、この島の中で、17世紀くらいまで、たくさんのトライブが多様な言語、文化を持って暮らしていた ことを認識しているのだ。その後、西洋人、漢民族、日本人などが続々とこの「麗しの島」を統治した。前回、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督を紹介する のに使った”外省人”とは、日本の統治が終った1945年以降、蒋介石の国民党と一緒に大陸からやってきた(=共産主義を嫌った)人々を指すらしい。対し て、それ以前に台湾に渡った”本省人”と呼ばれる人々の中には「原住民族」との混血の子孫達も多数いると考えた方が自然だ。だから、一口に台湾といっても、実は 多様なバックグラウンドを持つ多民族国家であり、カルチャーもミックスしている。街中を歩くと、僕らがイメージする中国人とは違った、どちらかというとマ レーシアやインドネシアに近い顔立ちの人とすれ違う。その度に、単一民族的情緒が支配する日本のことが頭をよぎる。一体、日本には「原住民」は居たのだろうか?もし居たとすれば、 いったい何処へ行ってしまったんだろう。