Monday, February 14, 2011

アリゾナの歓迎ぶり。

Img 0354 ロスアンジェルスからアリゾナのツーソンへは車で約8時間くらいか。当初はインターステイツ10でパームスプリングス経由を考えていたのだけれど、インターチェンジを間違えて8に乗ってしまい、結局南経由で向かうことになった。といってもロングドライブであることに変わりはない。どうせ今日は移動日と決めていたわけだし、真っ青の空の下、広大な大地をひた走るのもアメリカならではの醍醐味だろう。サンディエゴあたりから東へ折れると次第に風景が変化し始める。少しづつ坂を登っているのだろうか、荒涼とした風景の中にむき出しの岩が迫ってくる。"Sidewinder Road"なんて標識が目にはいった。まさか「ガラガラヘビの獣道」などあるわけはないが、もしこんなところをひとりで歩けといわれてもお断りすることは間違いない。「ふたりの男がこんな荒野をひたすら歩いて、道に迷って一人が死んじゃう映画、なんだっけ?」と奥さんに尋ねると、「『ジェリー』じゃない?たしかガス・ヴァン・サントだったと思う」との返事。ああ、そうだった。まったく、人間の方向感覚ほどあてにならないものはない。車内にはおとといayaさんからいただいたグラハム・ナッシュのトリビュートCDが流れている。アルバムタイトルの"Be Yourself"がかかると、突然、高円寺の6畳一間の部屋でヘッドフォンを耳に押し当てながら聴いていた頃がフラッシュバックした。この曲が入っていた"Songs For Beginners"というLPは親友からの借り物だったけど、とても気に入ってしまって返すのをズルズルと先延ばししたっけ。なにしろ、"Chicago"や”Military Madness ”なんていう強いメッセージを持つ曲も、彼の手に掛かると、つい口ずさみたくなってしまうから不思議だ。ぼくは、CSN&Yというユニットではニール・ヤングとグラハム・ナッシュにシンパシーを感じていた。そうそう、ayaさんに初めて紹介され、次号YODELのインタビューをしていた時のことだった。彼女が小屋を借りているというトパンガ・キャニオンには昔ニール・ヤングが住んでいたことが話しのきっかけになった。それからグラハム・ナッシュの娘が父のトリビュート・アルバムを作ったこと、そしてその2,3日前に訪れたサンフランシスコのミッション地区にある"Gravel And Gold"というとてもイイ感じの店は、実は彼女が経営していることを聞いたのだった。グラハム・ナッシュのことは、ずっと忘れていたのだけれど、そのアルバムを聴いてみたいという顔をしたのだろう、彼女は翌日会ったときに焼き付けのCDをプレゼントしてくれた。そんなことをボンヤリ思っていると、後ろからサイレンの音、ハイウェイ・パトロールではないか! それから20分ほど、赤ら顔に口ひげを蓄えた警官は僕らにタップリ説教をしたあと、ニコリともせずにスピード違反のキップを切ってくれた。75マイル制限を13マイルオーヴァーで、たしか168ドルの罰金。さすがにアリゾナ、歓迎ぶりが手厳しい。