
1956年、コパーはパリにブランクーシを訪ねた(あいにく不在で会えなかったらしいが)。ジャコメッティにも傾倒していたという。なるほど、あのちょっと奇っ怪なフォルムには観念的なものを感じざるを得ない。しかし、実際に作品を目の当たりにすると、様々な技法を凝らしつつ、ほとんどが口と胴体を持っている。まるで、彫刻に肉薄しつつ、ギリギリのところで器として踏みとどまっているかのようだ。そのことを物語るかのように、各作品のキャプションは単に"Bowl","Pot",そして"Vase"となっている。
見終わって、図録を買おうとしたらTシャツを売っていた。一枚は作品の写真、もう一枚のほうはリーとのツーショット。チョット迷った末、後者に決めた。自家用に使っていた中古のロンドンタクシーの運転席から顔を出したコパーにリーが何か話しかけているショットだ。マッシュルームカットのコパーはカメラを見つめ、リーの視線とは交錯していない。まさに、陶芸の世界へ誘ってくれた彼女と別れ、自身の道を走り始めようとするかのようにも見える。