Thursday, May 6, 2010

久住登山

Img 0889 「一泊二日で久住登山をしよう」と最初に友人から誘われたのは確か去年だった。彼はそのコースを子供と愛犬を連れて踏破したばかり。僕も中学生時代に父と一緒に登ったことがある1786mの(ほぼ)九州本島最高峰という山である。さっそくENOUGHのみんなに提案したが、反応がはかばかしくない。ところが、その後同人誌を発行することになりタイトルを「YODEL」、第一号のテーマを「山」などとしたおかげで、少しずつ山への興味が芽生えかけていた。まあ、何事もタイミングが大事ってこと。晴れて今回、13才から61才まで総勢11名プラス犬二匹の即席パーティーで頂上を目指すことになった。
 朝6時半に福岡を出発、快晴の山並みを抜け、2時間くらいで6合目の登山口に到着。ここから自力で登る時間は片道4時間ほどらしい。前の晩ライブで一睡もしていないサックス青年は、なんとコンバース穿きで参加。再三にわたる友人の事細かな事前メールにも関わらず、みんな「まあ、なんとかなるさ」くらいの読みだったようだ。ところが、車を降り、いざ登り初めると早速心臓破りの急な坂。まもなく、キャドと格闘していたであろう夜型人間のひとりが早くも音を上げた。早速一回目の休憩。「こまめに水分を補給して下さい」というリーダーの言葉に、もはや汗だくのパーティー一行はゴクゴクと水を体内に注入する。もちろん、その後、いつ果てるとも知らない大小の石ころだらけで急峻な山道と格闘する羽目になるとも露知らず...。
 「神経を集中して歩いてください」との声に励まされながら、なんとかその日の宿泊地である温泉へたどり着いた時は、さすがにホッとした。もう、しばらく石は見たくもない気持ちだった。下りは特に膝に負担がかかるようで、たかだかの段差さえ、おっくうである。なんとか落伍者にならずに済んだのは、途中で足にしっかりテーピングをしてもらったおかげだろう。そうそう、軽量ステッキも貸してもらったし、なによりデイパックを替わりに背負っても頂いた。サイコーレーシャとして、遠慮なくご厚意に甘えたわけである。トレッキングシューズを脱ぎ、さて温泉に浸かって疲れを取ろうかと思ったら、膝から太ももへかけて派手に十文字に貼られたテープが現れた。バリバリと剥がしてヌル目のお湯に浸かると、山の夕暮れが、すぐそこまで迫っていた。