Monday, April 11, 2011

ボーンホルム島

Img 0903 ヨーロッパ大陸とスカンジナビア半島にぐるりと囲まれたバルト海は、いわば北欧の地中海ってところか。でも、スウェーデン南端の港からフェリーに乗って2時間くらいで着いてみると、冬ざれた島は人気もなく霧に包まれていた。シーズンになれば、きっとたくさんの観光客でにぎわうはずのレストランやアンティック・ショップもクローズしてるのが多い。お目当の窯元も、照明は点いてはいたもののドアが閉まっている。どうやら、開店まで1時間以上あるようだ。あきらめかけた頃、中からドアが開き、事情を説明して入れてもらうことが出来た。以前フリーマーケットで見つけた陶器のいかにもダニッシュな質感と表情が気に入り、後になってそれがボーンホルム島に古くからある窯であることを知った。そうなると、ぜひ訪れてみたくなるのが人情ってもの。店内に入ると一瞬「ここは隆太窯なのか」、と錯覚しそうなほどキリッとした空気。モノクロームな中にやわらかいグリーンや藍色の差し色の器たちが静かに並んでいた。展示室を見せてもらうと、ギリシャ、ローマなど地中海(やはり)の影響が顕著な初期の作品から、中国や朝鮮、日本への接近を経ることで今のスタイルへ帰納した様子がかいま見える。やはり、陶器を巡る冒険は世界を巡るのだろう。そうそう、でたらめに読んでいた"HJORTH"という屋号、スタッフに何度も発音してもらい、どうやら「ヨート」と聞こえた。