Thursday, May 28, 2009

「エソラのかたち」

20090526-1 野見山暁治の展覧会「エソラのかたち」を見るために県立美術館に行った。手前にある公園で友人とフリスビーをやったのが多分30年くらい前で、ディック・ブルーナの展覧会が8年くらい前だった。久しぶりに見ると、モダンだったはずの建物もかなり風化している。でも、そんな風情もなんだかこの画家らしい。展覧会は美術館所蔵の作品を企画展示したもので、点数もそれほど多くなかったのだが、初めて見るには丁度良いボリュームだった。一気に描いたような作風は、油彩よりも版画や素描にその持ち味が出ているように感じた。本の装丁などに見られる筆致だ。そういえば、そこここに準備された彼の言葉も面白かった。「脱ぎ捨てた女の服や下着のさりげない形が、より女を感じさせることがしばしばある。そういうとき、どうも男にとって(女)というのはウソではないか、という気がしてならない。女は異性だという、そういう思いをあえて自分の中で作り上げているのではないか」。一時期同居していた田中小実昌が言ったとしてもおかしくないようなドキッとする言葉だ。何事についても、常識みたいなことに疑問を抱いていた二人には、義理の兄弟を越えた、同士みたいな友情があったのではないか。