Sunday, May 24, 2009

「テンペスト」

Rimg0064 夕方S君が、一緒に飲みましょう、と言いいながらワインを下げてやってきた。前日の深酒もあってその日は遠慮することにしたのだが、先日秋月の友人の店で見かけた美味しそうなビオワインである。ボトルを脇に眺めつつ四方山話をするうち、もうすぐ店も終わるわけだし、誘惑には勝てず結局飲むことにする。あり合わせをつまみに、彼が観たことがないというので「テンペスト」を鑑賞することにした。何度観たか覚えていないほど好きな映画で、監督はポール・マザスキー、主演はジョン・カサベテス。ジーナ・ローランズをはじめ、スーザン・サランドン、ラウル・ジュリアなどが脇を固めたシェークスピアを原作とするほろ苦い映画だ。監督としてのカサベテスもすごいと思うけど、ちょっと重くて気軽に観る映画ではない。それと比較すると、俳優カサベテスの表情と独特の笑い声が存分に味わえるこのビデオは僕にとっての宝物。観る度に、最後のカーテンコールを模したシーンにダイナ・ワシントンの「マンハッタン」という曲がオーバーラップすると、つい涙してしまう。観たことはないが、オフ・ブロードウェイってこんな感じなのだろうか。ルパート・ホームズやオーケストラ・ルナなんかも連想してしまうNYならではのアソシエーションだ。そういえば、パーティーの場面で「あっ、ウディ・アレンがいる」という娘の言葉と一緒に、一瞬豆粒みたいに小さく写るシーンがあるのが可笑しい。果たして本人なのだろうか?多分、そうだと思うのだが。
"Tempest" Columbia Pictures 1982年