マーシャ・クレラ / スピーク・ロウ
ベルリン出身の女性マルチ・アーティスト待望のソロアルバム 3 作目。今回は、同じドイツ出身の作曲家クルト・ワイルなどの作品をカバーしたもの。
ワイルといえば 1929 年「三文オペラ」で有名になり、その後ブロードウェイに進出した音楽家。ドラマティックで感傷的なメロディが、今の時代、どんな風に料理されるか興味津々だった。
聞いてみると、シンプルなバンド・サウンドが意外にもマッチしている。限りなく少ない音で空間をデザインするスタイルは、やはりドイツならではのもの。マーシャの愁いを含んだ(といっても湿度ゼロの)ボーカルが、大衆音楽の古典に新らしい光を当てているかのようだ。
(西日本新聞8月23日朝刊)