Thursday, November 19, 2009

「音のある休日」 #10

Combo-1 クァンティック・アンド・ヒズ・コンボ・バルバロ / トラディション・イン・トランジション
 
 イギリスから南米コロンビアに移り住んだクァンティックことウィル・ホランドの音楽を、一言で表すのは難しい。 様々なラテン・リズムを核に、アフリカ、アラブ、インドなどの音楽をミックスし、ファンキーでサイケデリックに料理しているからだ。いずれの曲も、その「洗練されすぎなさ」が魅力のダンス・ミュ−ジックである。
 ワールド・ミュージックと呼ばれる音楽は、もちろん国家別に存在するのではない。もっとローカルな色合いを持つものだ。互いに影響を受けながら変化してゆく様子こそスリリングなのだ。他者を拒否するのではなく、おのおのが持っているリズムを面白がることは、音楽の世界では大昔から当たり前。ゴキゲンに悲しい熱帯のグルーヴだ。(西日本新聞 10 月 18 日朝刊)