Thursday, December 18, 2008
穴の開いた凧
つい最近、太宰府の九州国立博物館で日中韓3ヵ国の首脳会談が行われた。新聞では、”世界不況を連携して乗り越えよう”、といった声明以外にさしたる成果もなかったように報じられていたが、お互いに「近くて遠い国」なだけに、「日帰り会談」とはいいアイデアだ。場所も意味深だ。日本が中国や朝鮮の文化を輸入、吸収してきた証のような博物館で行われたのだから。なんでこんな話をするかというと、たまに顔を出してくれる若き物知りさんから面白そうな展覧会の話を聞いたからだ。なんでも、鈴木召平さんという方が作った「朝鮮凧」と呼ばれる真ん中に丸い穴が開いた凧の展覧会だという。先日、早速工藝店「FOUCAULT」で始まった「新羅凧展」へ行ってみた。60x40cm位に竹籤を組み、和紙を貼ったものなのだが、絵柄が「民芸+グラフィック・デザイン」という感じで、とにかく素晴らしい。よく見ると、色絵柄は和紙を切り抜いて貼ったもののようで、下の方にハングルの印が押してある。購入も出来ると聞き、さんざん迷って一枚いただいた。以前買った長崎の凧(ハタ)と一緒に、お正月にでも飾ってみようかと思ったからだ。そうそう、お正月3日には平和台の鴻臚館跡で鈴木さんとの凧揚げ会もあるのだ。柳宗悦もそうだけど、たとえ国同士の仲が悪い時期にあっても、文化を通して交流してきた人たちがいる。工芸や芸術というものは「国家」なんてものに開いた穴みたいなものかもしれない。おかげで、少しは風通しが良くなり相手を認めるきっかけにもなっているようだ。