Wednesday, November 27, 2013

ヴィトラ・キャンパスへ足を踏み入れた我ら6名の見学ツアーを待ち受けていたのは、

 
 
通用門を抜け、さっそうとヴィトラ・キャンパスへ足を踏み入れた我ら6名の見学ツアーを待ち受けていたのは、まずバックミンスター・フラー考案のドーム。 1960年代に出版された『宇宙船地球号操縦マニュアル』でヒッピーたちの熱い支持を得た彼の伝説的構築物は、見たところ仮設のイヴェント施設のよう。と ころが中へ入ってみると、まさにSF異空間。外からの光にクッキリと浮かび上がる構造フレームの幾何学的美しさに、思わずブラボーと叫びたくなる。「化石 燃料や原子力に頼らずに、地球外から得るエネルギーだけで生きること」を提唱したフラーの、ある種楽天的な思想を思わせる「ぶっ飛び空間」なのだ。
 
つづいてはお目当て、ジャン・プルーヴェ設計のガソリンスタンド。1950年代に作られたという3つのうちのひとつをここに移設したものらしいが、すっか りペンキ塗り変え済みなのか、なんだかラブリー。しかし、そうでもしないと守衛さんの小屋と間違われそうだ。少しくらい薄汚れていても、 "As is"のほうがプルーヴェらしく迫力があって良かったのに、とひとりごと。その後、広い敷地を搬送の大型トラックに注意しながら、奥へ奥へと徒歩で移動。 行く手になんだかトンガッた建造物が見えてきた。
  案内役の女性の説明トーンがひときわ高くなったと思ったら、ザハ・ハディド設計とのこと。うー ん、たしか東京オリンピックへ向けた新国立競技場の設計コンペで選ばれた女性建築家だったはず。全然認識ないし、だいたい「ポストモダン」や「脱構築」さ れた建築はかなり苦手なのだ。それにしても、外部に劣らず内部がまたヤバイ。壁や天井が斜めってる。当初はヴィトラ敷地内の火災に対応するための消防署 だったらしく消防車5台だかを収納していたという。しかし、中で働いていると船酔いするようで気分が悪い、との苦情が相次いだこともあってか、現 在はイヴェント・スペースとして活用しているらしい。当日もパーティーのためケータリング準備がされていた。ワインと壁で悪酔いしなければいいけど。

  日本人建築ユニットSANAA設計による、デッカイ円形の工場施設の外壁の未来的な美しさを見たあと、最後は安藤忠雄設計のこじんまりしたコンクリート打 ちっぱなし建築で2時間のツアー終了。「タタミ・モジュール」という聞きなれないフレーズも飛び出し、「みなさん、ツアーの最後にこ のアンドーによる落ち着いた空間に来ると、ホッとされます」という説明に日本人として、なぜかうろたえる。
 最近、大好きなArtekがヴィトラに買収されたらしい。さすが”グローバル企業ヴィトラ”、世界の家具産業をけん引する勢いなのだろうか。そのうちに、ハーマンミラーも傘下に入ったりするのかな。以上、デザイン・テーマパークからの中継でした。