Thursday, April 14, 2011
LLOYD HOTEL
買付の旅は一回ほぼ3個所くらいを巡ることが多い。つまり最低でも3個所のホテルを予約しなければならない。数年前まではガイドブックに頼り、電話かファックスで空き部屋を確認して申し込むスタイルだったけど、最近はネットでチェックして簡単に予約できるようになった。といっても、ロケーションや設備、そして値段など、あれこれ悩むものである。今回、アムステルダムの3泊に"LLOYD HOTEL"を選んでみた。自慢じゃないが、初の「デザイン・ホテル」である。もっとも、一部屋平均一万円以内という不文律をギリギリ守ったツイン一泊80ユーロなり。トイレ、シャワー共同の一番安いランク。案の定、部屋は狭かったがオリーブ色で高窓があり、まるで下級将校の部屋のようだ。それもそのはず、1920 年建造当時は東欧からカナダや南米へ向かう移民の待機所として使用されたという。どうりで建物は質実剛健、まるで学校か病院のよう。1960年代からは校正施設になり、その後はアーティストの住居兼アトリエとして利用されてきたらしい。世界ではじめて市民社会を実現したと言われるオランダはなによりも個人の自由を大切にする。この施設は、様々な理由で国を捨てなければならなかった他国の人々に対する配慮だったように思えた。その後の更正施設というのも、マリファナなどではなくもっとヘヴィーなヘロインなどの麻薬中毒の人達の為だったのでは?そんな色んな想像をしながらホテル内を歩くと、デザインに関する様々な情報が用意されていたり、アーティストのインスタレーションもあり、と退屈しない。スタッフはデザインにも明るく、リートフェルトやフリーマーケットのことにも即対応してくれた。つまり、ここは新奇さを狙った「デザインホテル」とは違っていたわけで、ひと安心。ただ、朝ご飯(とても美味しかったのだ)が、チェックアウト時に一回一人17ユーロと聞き、顔色が変わった。