Wednesday, July 11, 2012

「ロカ岬」

Img 0952 「ロカ岬」はポルトガルでも人気の観光スポット。なにしろユーラシア大陸最西端に位置するわけで、反対の東端(の沖合の島)からやってきた身としても気にならないわけがなく、先述したシントラという町から乗合バスに飛び乗った。ダラダラと海に向かって下る田舎道を 50 分くらいだったか、ずーっと乗りっぱなしの観光客と、乗っては降りる地元の人々が半々という感じだった。中学生とおぼしきおマセな女の子達が学校前の停留所から乗り込んで、ひとしきり車内で騒いだかと思ったら、一人、又一人と下車していった頃、開けた草地の向こうに大西洋が見えてきた。
 バスを降り、カフェテリアでよく冷えたビールの小瓶を買って岬の突端へと歩いた。荒涼とした岩場は一面のお花畑で海からの強風が吹きまくっている。花々は見たこともないような種類で、低くへばりつくように様々な色が咲き誇っている。風で帽子が飛ばされないように気をつけながら、写真で見たことがある「ここに地果て、海始まる」と刻まれた例の大きな十字架の向こう側へ行ってみると、突然視界が 200 度くらいに広がった。
 わずかにアールを描いた水平線と空との境界がうっすらと煙り、なんだかあの世の景色みたいに幻惑的。ここからそのまま西へ向かえば、確かニューヨークに到達するはずだ。この未知の海原を越えて新大陸を目指した男どもは、本当に向こう見ずで野心タップリだったに違いない。なにしろ彼らは喜望峰を周りインド洋からマラッカ海峡を抜けはるか種子島まで到達した。そう「黄金の国ジパング」にコンタクトした初の南蛮人となったわけだ。
 なんとかこの景色をカメラにおさめようとアレコレしていると、突然オジサンが僕ら二人を撮ってあげようかと声をかけてきた。お言葉に甘えて i Phone のシャッター位置を教えてあげていたら「わかった、ここだね」と言った瞬間が残っている。レイバンのサングラスが似合う「良きバテレンさん」である。