マウイ島はアメリカ本土から直行便が出ているほどアメリカ人のフェイバリットらしく、確かにゴルフ場やコンドミニアムなど家族向けのファシリティが整備されていて快適なヴァカンスが約束されている。ビーチはゴミひとつなく、フナムシもおらず、磯臭さもなく、蚊もほとんどいないと来ている。もちろん貿易風が絶えず吹いているから汗もかかない。カナヅチで、海にはいるのがおっくうな僕みたいな人間も、木陰で本などを読むフリをしたりと、まさに言うことナシ(これでキツエンにもう少し寛容だったら、などというのは虫が良すぎる話)。そういえば、ハイウェイを時速45マイルで走っていて前方にとぐろを巻いたかのような物体を発見した奥さんは反射的に声をあげた「ヘビだ!」と。僕は冷静に(友人から聞いたとおりに)、ハワイにはヘビがいない旨を彼女に伝えた。案の定、それはロープだった。
大昔、海底火山が隆起して出来たハワイ諸島には元来ヘビはいないらしい(時々外国船の荷物なんかに紛れ込んで侵入したヘビが発見されると、テレビで話題になるそうだ)。今でも、ハワイ島の南では海底火山が活発な活動を続けており、将来海上に隆起して島になると考えられている。ただし、それは数万年後の未来であり、地球が存在していればという条件付きである。