「フロム・ザ・グラウンド」
ヒザー・ウッズ・フロデリック
アコースティック・ギターとつぶやきに似た可憐な歌声に、ひかえめなピアノやストリングスが彩りを添える。まるでクラシックとフォーク・ミュージックが密やかに融合したかのようなサウンドでデビューした彼女は、アメリカ西海岸ポートランドの出身。
半導体、電子部品、情報産業の集積地として発展したこの町は、緯度がほぼ同じである札幌と姉妹都市。自然と調和した美しい都市計画でも知られている。そういえばこのアルバムにも静かだが熱い実験精神が流れているような気がする。
「変えられるものを変える勇気と、変わらぬものを受けいるれ謙虚さ」とは、ポップスの世界にもある。さて、来年はどんな音に出会えるか?(西日本新聞 12 月 27 日朝刊)