Monday, September 1, 2008

Patina

使い込まれたものに生まれるつや、時が恵んだ変色や風格なんかのことを英語で[Patina]と呼びます。
ふと気づけば自分がこれまでめぐりあってきたものの多くがこの[Patina]を持っていて、これからもいっとき、私(『嫁』です)のその嗜好は変わらない気がします。そしてどうやら「住居」に対してもそれは同じで、すこしづつ手に入れた中古家具や道具類がうまく溶け込むだろうとイメージできる、時を経た住居空間と風景を見つけた時の喜びといったら、この上ありません。

Rimg0460 この春出会ってリ・モデルを手がけた"ENOUGH"プロジェクトのマンション#602も、当初からもちろん[Patina]たっぷりでした。そして、友人達と改装していく中で、残したい[Patina]はそのままに、また、これからもほどよい[Patina]を持っていくように、と考えられてでき上がりました。例えば、古い躯体の壁と天井はそのまま剥き出し、「隠す」「覆う」という類いの改装方法はとっていません、そこにあった過去の痕跡がとてもユニークで、これからの自分たちのライフスタイルと調和する予感がしたのです。今後は、これからの痕跡がさらに上書きされることでよりマイルドな空間になっていくことを想像しています。
 建物自体の新旧を問わずありのままの姿を持った住居は潔いもので、そこでの生活は思いのほかリラックスできたりもします。
 「リセット」や「アンチエイジング」という言葉があたりまえのように使われる現在ですが、過去と未来の[Patina]を秘めた住居といっしょに、自分自身も経年変化していくことを恐れずに楽しみたいものです。いつか、自分自身にも[Patina]が出てくることを夢見て。

 9月3日から東京で開催される FOR STOCKISTS EXHIBITION では、そんな空間の為に考えた"ENOUGH"なプロダクトも紹介する予定で、後日、その新しいプロダクトをホームページでも案内していきますのでお楽しみに。t.t.